第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演19群 住み慣れた地域に戻ることへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第10会場 (G318)

座長:小泉 未央

[口演Y-19-2] 退院に向けた服薬支援シート活用

―看護師の意識の変化に焦点をあてて―

向山 優, 成田 純子, 新町 彩華, 及川 知賀子 (十和田市立中央病院)

キーワード:アセスメント、服薬支援、意識調査、退院支援

【目的】薬の飲み忘れや身近に内服確認をする協力者がいないなど、高齢患者の自己管理は難しくなっている。そのため再入院時の残薬にばらつきがあり、処方通りの内服が行えていない状況がある。そこで現在病棟で使用している服薬アセスメントシートに退院を意識できる項目を追加した「退院に向けた服薬支援シート(以下服薬支援シート)」を作成し、活用することで看護師の退院に向けた服薬支援への意識が変化するかを明らかにする。【方法】病棟看護師22名を対象に、3カ月間服薬支援シートを使用した。その前後にアンケートを実施し、単純比較した。アンケートは個人が特定されないよう無記名とし、得られた情報は本研究以外の目的には使用しないことを説明した。アンケートの提出をもって研究参加への同意を得るものとした。【結果】「服薬に関して充分な情報が得られているか」は「そう思う、ややそう思う」使用前14名(64%)から使用後16名(80%)に増加した。自由記載では「入院時薬の管理について聞くことが出来ていなかったが、今回を機に毎回聞くようになった」と意見があった。「退院支援に繋がっているか」は「そう思う、ややそう思う」は使用前14名(59%)で使用後13名(60%)であった。自由記載では「更に意識付けとなった」と意見があった。「服薬支援シートは使用しやすかったですか」は「そう思う、ややそう思う」11名(55%)「そう思わない、ややそう思わない」9名(45%)であった。自由記載では「最初のうちに詳しく聞きたかった」と意見があった。【考察】「服薬に関して充分な情報が得られているか」の結果から服薬支援シートを使用することで薬の管理についても毎回聞く意識付けとなり、情報収集をしやすくなったと考える。「退院支援に繋がっているか」の結果はほとんど変化が見られなかった。しかし「更に意識付けとなった」という意見から、もともと退院後の服薬管理を意識しているスタッフが、より意識できるようになったと考える。「服薬支援シートは使用しやすかったですか」の結果では、ほとんど変化はなかった。意見より「最初のうちに詳しく聞きたかった」とあり、服薬支援シートの使用方法の説明が不足していたことや使用方法を充分に理解できていない状態で使用したことが影響したと考える。