第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演2群 ポストコロナ社会の看護への示唆~感染対策~

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第6会場 (G304)

座長:篠原 久恵

[口演Y-2-3] A病院における新型コロナウイルス感染症対策

―第二種感染症指定医療機関としての役割から得られた病院・地域への効果―

小美野 勝, 鮎ケ瀬 光子 (埼玉県済生会加須病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症、第二種感染症指定医療機関、帰国者・接触者外来、仮設病棟

【目的】第二種感染症指定医療機関であるA病院では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生に伴い2020年1月31日から帰国者・接触者外来の運用を開始し、2月11日から入院患者の受け入れを開始した。受け入れ体制を順次拡大するとともに、病院外への支援活動を拡充していった。3年間の活動内容と実績を振り返り、病院・地域への効果について検証する。【方法】帰国者・接触者外来運用は、2020年1月13日~3月10日は感染症診察室での対応とし、3月11日~2023年5月7日はドライブスルー対応で行った。入院患者受け入れは、2020年2月11日~7月15日感染症病床4床、7月16日~2021年2月25日一般病棟21床、2月26日~2022年4月30日仮設病棟70床、7月1日~2023年5月8日仮設病棟77床で運用した。院外活動は、行政からの依頼対応の他に、個別支援を行った。本研究は、医療機関情報及び患者の個⼈情報を匿名加⼯することによって、患者が特定されないよう配慮した。【結果】帰国者・接触者外来対応患者数は延べ7,997名であった。入院患者数は1,203名の受け入れを行った。COVID-19対応によるスタッフ感染者は0名であった。A病院内でのクラスター発生は2022年12月9名、2023年2月6名の2件であった。2023年3月17日時点の院外活動は、相談対応105件、クラスター支援27件、講演・研修会25件、埼玉県新型コロナウイルス感染症対策優良施設認証制度24件、COVID-19受け入れ準備支援12件、COVID-19患者発生時を想定した支援9件、A病院への見学受け入れ8件であった。A病院が主催する感染対策地域連携カンファレンスに参加する医療機関11施設中9施設が、帰国者・接触者外来の開設およびCOVID-19患者の入院受け入れを行った。【考察】最新知見の積極的な収集、院内ルールの明確化、マニュアルの速やかな更新と情報共有、スタッフ相互の意識付けがCOVID-19対策では効果的だったと考えられる。また、早期から対応した実績をもとに地域支援を行ったことでCOVID-19受け入れ施設が増え、地域の感染対策推進につながったと考えられる。さらに、地域のクラスター支援を行ったことが自施設の対応強化にもつながり、クラスターを最小限に食い止めることができたと考える。