第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演21群 健やかに生まれ育つことへの支援①

2023年11月8日(水) 10:30 〜 11:30 第11会場 (G319)

座長:蛎﨑 奈津子

[口演Y-21-1] 妊娠中に混合栄養を希望していた母親が自分なりの授乳方法を見出していく産後1ヶ月までの体験

十河 由紀, 福田 明佳, 仁平 御鈴, 高萩 桃子, 石川 紀子 (総合母子保健センター愛育病院)

キーワード:混合栄養、母乳育児、母乳育児支援、質的記述的研究

【目的】妊娠期より混合栄養を希望した初産婦が自分なりに授乳方法を見出していく過程がどのような体験かを明らかにすることを目的とする。本研究により混合栄養を希望する母親に対する妊娠期から産後1ヶ月までの看護に示唆を得、看護実践の質向上に寄与すると考える。【方法】本研究は質的記述的研究である。妊娠期から混合栄養の意向を示しA病院で正期産期に出産した初産婦7名を対象とし、産後1ヶ月健診後から産後2ヶ月までに半構成的面接を行いデータ収集した。面接では妊娠中から面接時点までの母乳育児への思いと体験、医療者のケアとそれに対する思いを聴取した。母性看護学領域に精通した研究者の指導の基、一事例ごとに本人の捉えた事実・状況、行動・思いを分析し体験を明らかにした後、全ての研究協力者の体験の共通性、相違性を検討しながら類型化を繰り返しカテゴリー化した。尚、研究参加は自由意思で決定され同意しない場合も診療や看護に不利益はなく同意後もいつでも撤回できることを依頼書に記載し口頭でも説明した。【結果】研究協力者が自分なりの授乳方法を見いだす体験を明らかにした結果、52サブカテゴリー、24カテゴリー、7コアカテゴリーを抽出した。妊娠中は、母乳育児への関心が向かず母乳育児に楽観的認識があるなど《具体的な授乳方法を考えるには不十分な情報と認識》を持ち、《考え得る中で混合栄養を想定(する)》した。そして、分娩後母乳育児が始まると、その困難さを経験し挫けそうになるなど《母乳育児の現実と困難さに直面(する)》しながら、《よくわからないままに取り組み専門家に主導され母乳育児を知(る)》った。退院後、想定外に母乳中心の育児をしていることや母乳分泌量を不安に感じるなど、《授乳方法への迷いと不安が生じる》ようになり、《専門家と家族の支援と協力を得(る)》ながら、母乳育児を中止する決断や無理なく続ける方法を模索するなど《自分の経験と判断に基づいて授乳方法を意思決定してい(く)》た。【考察】妊娠期に初産婦が母乳育児を含む産後の生活を想像することは難しく、出産後様々な経験を通して母乳育児に対する自身の思いと向き合い、新たな生活に適応する中で自らの授乳方法を見出していく。その過程において看護者は、出産後の生活に対する戸惑いを軽減し本人が納得して授乳方法を意思決定できるよう、適切な時期に必要な情報提供と支援を行う必要がある。