[口演Y-22-1] 入院後24時間以内に早産で出産に至った母親の出産への思い
Keywords:早産、緊急入院、出産体験
【目的】早産を経験した母親は自責や失望といった否定的感情を生じやすい。また入院後急速に出産となる場合、出産までに精神的準備が整っていないことが懸念される。こうした体験をした母親が出産に対して抱く思いを明らかにしたいと考えた。【方法】2023年3月~4月に、A病院で「37週未満の早産」「入院後24時間以内の出産」となった母親に対し、出産後1~3日目の期間に半構造化面接を行った。データは逐語録化し、質的記述的方法で分析した。データ分析は質的研究者によるスーパーバイズを受けて行った。本研究の趣旨とプライバシーの保護、参加及び撤回の自由を口頭で説明し文書で同意を得た。これらは所属施設の倫理審査委員会の承認を得た(受理番号2022FY176)。【結果】対象者は4名で、分娩週数は34週1名、35週3名、分娩様式は経膣分娩2名、帝王切開2名であった。3名は児がNICU入院となり母児分離となった。語りを分析し、出産時に抱いた思いとして、55コードから31サブカテゴリ―と11カテゴリーが抽出された。カテゴリーを《》、サブカテゴリ―を〈〉で示す。カテゴリーは《分娩に対する困惑》《分娩に対する焦り》《分娩に対する驚き》《分娩になることを否定》《児の未熟性に対する不安と恐怖》《分娩に対する覚悟》《児の安全を憂慮》《児の姿を見て抱いた安心》《児に対する自責》《出産体験の振り返り》《病院への信頼》であった。《分娩に対する困惑》からは〈早産になるとは思っていなかった〉、《児の姿を見て抱いた安心》からは〈児の啼泣を確認した〉〈スタッフから児の状態を確認した〉、《病院への信頼》からは〈スタッフのやさしさに安心した〉〈スタッフの経験値に安心した〉などが語られた。《児に対する自責》は2名の母親から語られ、両者とも母児分離となっている。【考察】今回、後期早産児を出産した母親の思いを明らかにした。母親は入院時に、早産になる事に対して否定的な感情を抱いたが、出産までの短い時間の中で、状況を理解し出産への覚悟が生じていた。母親が安心して出産に臨むために重要となる助産師の介入として、以下の2点をあげる。(1)丁寧な説明や寄り添いによる不安の軽減、(2)振り返り等を通しての出産体験の受容、に対する介入であると考えた。