[口演Y-22-3] A病院の小児科看護師が大切にしている小児看護の在り方
―病棟看護師のインタビューを通して―
Keywords:小児看護の在り方、インタビュー、短期入院
【目的】A病院小児科病棟は、短期入院が主体であり、看護師が思い描く看護展開がままならないことがあることも否めない。そこでA病院小児科の看護師が「患児ならびに家族との関わりの中で大切にしている看護」を明らかにしたいと考え、本研究の目的とした。【方法】A病院小児科病棟の小児領域看護師歴3年目以上の看護師のうち10名を研究対象とし、半構成面接を実施。語りの内容から逐語録を作成、対象の看護師が大切にしている看護について語っている箇所をコードとして抽出。抽出したコードは同様の内容でサブカテゴリ―化、カテゴリー化した。なお、A病院内の研究倫理審査承認後、対象看護師に研究同意書にそって説明・同意を得た。参加意思はいつでも撤回でき、不利益にならないことを保障した。【結果】≪子どもの主体性を大切にする≫≪子どもの尊厳を守る≫≪入院生活に伴う子どものストレス・不安を軽減する≫≪家族の信頼と安心を得る≫≪家族の持つ力をエンパワメントする≫≪自宅‐病院間でのケアの連続性を大切にする≫6つのカテゴリーが明らかになった。【考察】1)A病院における小児看護の在り方と課題:短期間の介入ながら≪子どもの主体性を大切にする≫という思いを持ち、子どもの発達段階と個別性を重視している。また、煩雑な業務でも{子どもの意思をくみ取り尊重する}ことで≪子どもの尊厳を守る≫ように意識している。昨今は面会制限を背景に、母子分離・生活環境の変化に着目し、≪子どものストレス・不安を軽減する≫ことに取り組んでいる。一方で、苦痛を伴う処置でプリパレーションを意図的に実践している語りは少なく、実践可能な苦痛緩和を取り入れることが課題である。また、家族から子どもの情報を得るために効率的な情報収集システムが必要である。2)家族支援と退院に向けての関わり:多くの看護師が{家族の不安に寄り添う}ことを大切にしているが、面会制限で家族との関わりが減少している。{家族とのファーストタッチを大切にする}ことで、家族支援の機会を逃さないことが重要である。自宅退院を見据え、家族と子どものつながりを大切にし≪家族の持つ力をエンパワメントする≫ことを意識している。また、自宅のライフスタイルを尊重し≪自宅‐病院間でのケアの連続性を大切にする≫と同時に、短期間の入院で可能なケア方法を総合的に判断し実現性のあるケアを提案することも必要なスキルだと考える。