第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演22群 健やかに生まれ育つことへの支援②

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第11会場 (G319)

座長:渡邊 典子

[口演Y-22-5] 看護師、助産師が胎児異常の診断を受けた妊婦との関わりの中で抱く思い

小原 紀子, 舘林 淑子, 菅原 祐佳, 佐藤 茜, 片岸 祥子 (岩手医科大学附属病院)

Keywords:胎児異常、妊婦、関わり

【目的】産科病棟に勤務する看護師、助産師が胎児異常の診断を受けた妊婦との関わりの中でどのような思いを抱いているのかを明らかにすることで、ケアの充実について示唆を得ることができる。【方法】A病院に在籍し、胎児異常と診断された妊婦と関わった経験があり、研究への同意が得られた看護師、助産師20名を対象に自記式質問紙による調査を実施した。質問紙は赤羽らの研究を参考に独自に作成し、調査項目は「胎児異常と診断された妊婦との関わりで心に残っている場面、その時どのように感じたか」「胎児異常と診断された妊婦と関わることをどのように感じるか」で、回答は自由記述とした。記述内容から胎児異常と診断された妊婦との関わりに対する思いについて述べられている内容をコード化し、コードの関連性や相違性を比較してサブカテゴリー、さらにカテゴリーとして分類した。倫理的配慮として、研究目的、匿名性の保証、自由意思による研究協力、拒否や回答内容によって不利益がないことを対象者に説明し、同意を得て行った。【結果】コードを分析した結果から8サブカテゴリー、4カテゴリーが導き出され、最もコード数が多かったのは≪胎児異常と診断された妊婦に特有の配慮が必要と感じている≫で「もっと寄り添えるような看護をするべきだったんじゃないかと後悔している」「あれで良かったのか、他の人の方が適していたのではないかと思った」などのコードがあった。その他に、コード数の多い順に≪妊婦に寄り添い思いを知りたい≫≪胎児を受け入れてほしい≫≪無理に気を遣わなくてもいい≫というカテゴリーが抽出された。【考察】本研究では、胎児異常と診断された妊婦へのケアに自信が持てず戸惑いを抱きながらも、寄り添い思いを知りたいと考えながらケアしていることがわかった。さらに、胎児を受け入れてほしいというカテゴリーからは、胎児もケアの対象として考え、自ら意思表示できない胎児の尊厳を大切にしていることが推測される。一方で、無理に気を遣わなくてもいいというカテゴリーは、胎児異常を特別視せずに、ほかの妊婦と同じように妊娠継続を支援していきたいという思いの表れといえる。このように看護師、助産師はさまざまな価値観や倫理観の中で葛藤を抱えながらケアしており、その葛藤を個人の問題として対処するのではなく、医療チームで共有し、ケアの充実を図ることが課題と考える。