[口演Y-23-1] ロボット支援下前立腺全摘術(RALP)後患者の退院後の生活変容および適応行動の実態
Keywords:ロボット支援下前立腺全摘除手術、生活変容、変容適応、セルフケア支援、内容分析
【目的】RALP を受け、退院後約6か月以上を経過した患者の退院後の生活変容およびそれに対する患者の適応行動の実態を明らかにする。【方法】1. 研究参加者A 病院でRALPを受け、退院後約6か月以上経過した患者 2. 研究期間令和4 年10 月~ 12 月 3. データ収集方法研究者が作成したインタビューガイドに沿った半構造化面接法 4. 分析方法研究参加者の退院後の「生活変容」および「変容適応」に関して語られている内容を抽出しコード化、さらにカテゴリー化して分類した。5. 倫理的配慮本研究はA 病院の倫理審査委員会の承認を得ており(承認番号202201)、研究参加者には研究の趣旨を口頭と文書で説明し、研究の趣旨、参加は自由意思に基づくこと、個人情報の保護等を説明し、署名により研究協力の承諾を得た。【結果】研究参加者3 名の語りから「生活変容」「変容適応」に関わる51 のコード、8 つのカテゴリーを抽出した。RALP を受けた患者は、術後から退院後に< 尿失禁、排尿障害の体験>< 常時続く違和感>< 術後生じた問題>< 排尿障害により取り戻せない日常生活> を体験している。その一方で< 自身や他者のための試行錯誤>< 改善を信じ立ち向かう姿勢> など症状改善への努力を続け< 問題の認識と解釈>< 現実との折り合いをつける> 方法を見出し、適応の試みを続けていることが明らかとなった。【考察】本研究により、退院後の患者の生活変容に関する詳細な変容適応過程を知ることができた。RALP 関連の先行研究の多くは、患者の心理的側面から手術後のQOL に及ぼす影響を測定し、そこにケアの要点を見出そうとするものが主である。これに対し、本研究では患者の日常生活に焦点を当て、そこで現れる新たな試練を体験しながらも、患者が自力で解決しようとする姿勢や、男性ゆえ周囲に相談できずに、独力でと、もがく患者の実情が浮かび上がった。そこから、看護師には患者の内面の葛藤を置き去りにしない、過小評価しない態度が強く求められる実際を再認識した。加えて、患者が術後の回復過程で体験する困難に対し戸惑うことなく、社会生活が継続できるよう、術後訪問の機会を活用し事前教育を行うことで、患者が術後の身体・心理・社会的変化を「想定内」としてとらえ対処できる、先手を打った看護の必要性の示唆を得た。