第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演23群 疾病とともに暮らすことへの支援①

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第11会場 (G319)

座長:岡田 理津子

[口演Y-23-2] 外来抗がん剤曝露対策指導後に生じる患者の困難感や対処と求める支援

石丸 昌美, 林 大輔, 西山 恵理, 御園 和美 (日本赤十字社和歌山医療センター)

Keywords:抗がん剤曝露、困難感、外来患者、セルフマネジメント

【目的】曝露対策指導後に生じる困難感、困難感への対処、医療者に求める支援の3点を明らかにすること。【方法】≪対象者≫外来抗がん剤治療中の心身共に安定した患者23名≪期間≫2023年4月19日~5月2日≪方法≫同意を得た患者に、所定用紙を用いてアンケートを実施し、単純集計し自由記述の分析を行った。《倫理的配慮》倫理委員会の承認を得、アンケート用紙は無記名回答方式とした。【結果】参加者は22名、回答率95.7%であり、困難は『ない』が86.3%であった。曝露対策指導を受けての思いは、「知ることで対処できる」「本人・家族共に知るべき」の回答が多く、「子供が急に用をたしたいとき困った」等という困難に対し、「トイレは別々に使用」等の対処を行っていた。医療者に求める支援は、「いつでも相談したい時にアドバイスをもらえると患者は安心する」等の回答であった。【考察】曝露対策に対し、「知る事で対処できる」「本人、家族共に知っておくべき」の回答が多く、患者は苦痛な症状を伴う抗がん剤治療の中においても、曝露対策について否定的な印象をもつことなく、自ら前向きに取り組もうとしている事が明らかとなった。また、困難感が「ない」と回答した患者が86.3%であったことについては、安酸は、『セルフマネジメントについて、患者は自分の病養に関するテーラーメイドの知識・技術を持ち、生活と折り合いをつけながら、固有の症状や兆候に自分自身で何とか対処していく』と述べており、患者は指導された内容を自身なりの生活様式に合わせ、セルフケアスタイルを確立出来ているからではないかと推察する。困難がないとする中でも表出された内容は「トイレを分けて使わないといけない」などの排泄に関することに集中しており、排泄が日常生活上不可欠な内容であることと、曝露対策上重要なポイントを占めていることが関連していると考えられ、この点に関する指導の強化の必要性が示唆された。このような対処を行いながら生活する患者には、「いつでも相談したいときにアドバイスがもらえると安心する」というニーズがあり、安酸が『今までと違う生活習慣が当たり前になるのはとても困難なこと』と述べていることからも、自身なりの生活の再構築が図れている患者であっても、気軽に相談できる体制を構築することが、曝露対策に取り組む患者の安心した生活を支えることにつながるとの示唆を得た。