第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演23群 疾病とともに暮らすことへの支援①

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第11会場 (G319)

座長:岡田 理津子

[口演Y-23-5] 2型糖尿病インスリン療法患者ががん化学療法開始後、認識した血糖コントロールに関するセルフケア行動

本多 美枝1, 市原 多香子2 (1.香川大学医学部附属病院, 2.香川大学医学部看護学科)

Keywords:2型糖尿病インスリン療法患者、がん化学療法、セルフケア行動

【目的】がん化学療法を開始後に、2型糖尿病インスリン療法患者が認識した血糖コントロールに関するセルフケア行動を明らかにし、糖尿病とがんの2つの疾患をもつ患者におけるがん化学療法開始時の看護援助について示唆を得る。【方法】本研究は、インスリン療法を受けている2型糖尿病患者で、2020年10月~2021年12月にA大学病院の腫瘍内科で切除不能な進行癌と診断され、外来がん化学療法を2クール以上受けた患者のうち、研究参加に同意が得られた6名を対象とした。面接内容はがん化学療法開始後に認識した血糖コントロールに関するセルフケア行動について半構造化面接を実施した。半構造化面接についてはプライバシーが確保できる個室で、面接中は研究参加者の言動や表情などから身体症状が出現していないか観察しながら実施した。面接内容から逐語録を作成し、データを抽出した。データ分析はKrippendorffの内容分析の手法を参考にカテゴリー化した。【結果】研究参加者は6名で年齢は平均70.5歳、性別は男性4名、女性2名であった。糖尿病治療歴は2~30年で面接前のHbA1cは平均6.8%で、診断名は膵臓癌1名、膵臓癌術後再発4名、食道癌1名であった。分析の結果、[食事摂取量増加を目指す食行動][副作用に伴う血糖変動を意識したセルフモニタリング][予測困難な副作用症状を想定した予防的な対処][疾患と治療の両立に向けた情報探索]の4つのカテゴリーが抽出された。【考察】研究参加者は、今までの糖尿病の食事療法とは相反する体力や体重維持を優先する[食事摂取量増加を目指す食行動]に戸惑いながらも、シックディ時の対応や糖尿病のセルフモニタリングを応用し、[副作用に伴う血糖変動を意識したセルフモニタリング]を繰り返す中で、がん化学療法の経験的知識を習得し、[予測困難な副作用症状出現を想定した予防的な対処]を行いつつ、常に[疾患と治療の両立に向けた情報探索]を行っていた。2つの疾患と治療を両立したいと考えている患者の思いをふまえ、患者の糖尿病治療歴や今まで行ってきた糖尿病の自己管理行動を承認し、がん化学療法開始後は、手探り状態に寄り添いながら、今後の血糖コントロールについて多職種チームでの支援が必要と考えられた。また、2つの疾患をもつ患者同士が情報共有できる場を提供する必要性が示唆された。