第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

口演

口演24群 疾病とともに暮らすことへの支援②

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第11会場 (G319)

座長:谷本 真理子

[口演Y-24-3] 前立腺全摘術を受けた患者の排尿障害に関する実態調査

―患者の不安を軽減していくために―

蔵本 理乃, 丸谷 茜 (JR 広島病院)

Keywords:前立腺全摘術、排尿障害、骨盤底筋体操

【目的】前立腺全摘術を受けた患者の、排尿障害に対する実態を明らかにする。【方法】A病院で前立腺全摘術を受けた過去3年間の患者51名へアンケート用紙を郵送し、無記名で返送してもらった。調査依頼書に研究の趣旨、研究への参加は任意であり、参加しない事での不利益は生じない事を明記した。A病院の倫理委員会で承諾を得て、同意はアンケート用紙回収をもって得られた事とした。【結果】対象者51名中47名の回答が得られた。残尿感がなかった方16名、6ヶ月以上続いた方12名。尿意切迫感がなかった方9名、6ヶ月以上続いた方23名。尿失禁がなかった方2名、6ヶ月以上続いた方28名。排尿時痛がなかった方28名、6ヶ月以上続いた方3名。排尿障害の中でも尿失禁・尿意切迫感は8~9割の方に出現しており、そのうち半数以上が6ヶ月以上続いているという結果であった。術後の患者が排尿障害により日常生活の中で困ると感じる場面においてパット購入等の金銭的負担(19%)や睡眠 (25%)に対し、臭いや汚れ(43%)、長時間の外出 (33%)、頻回のパット交換(35%)など周囲を気にした影響が約3~4割と多いことが明らかとなった。排尿障害を改善する為の行動として、特に何もしていない方は17名、民間療法の取り入れは0名、市販薬の使用は2名、骨盤底筋体操など、運動による筋力強化への取り組みが23名、医療機関への相談は6名という結果となった。市販薬を使用した方は全員効果を感じていなかった。骨盤底筋体操などの筋力強化を実施した23名中17名は効果を感じていた。医療機関への相談をした方は、内服薬の処方してもらい6名中5名が効果を感じていたという結果であった。【考察】看護師は尿失禁以外の排尿障害にも意識を向ける必要があると推察される。排尿障害が日常生活にもたらす影響として、臭いなど周囲を気にした影響が多いことから、それに対する対策方法を考え伝えていく必要があると考える。骨盤底筋体操や医療機関へ相談を行うことで、排尿障害改善に効果を感じていた人は半数以上いたため、骨盤底筋体操指導の必要性を認識できた。その他医療機関への相談も視野に入れていく必要があると考えられた。退院していく患者が具体的に生活をイメージする手助けとして、同病者の経験や思いを取り入れた指導していくことで不安の軽減が出来るのではないかと考えられた。