[口演Y-24-4] 天疱瘡、類天疱瘡患者の療養上の体験:質的研究
Keywords:天疱瘡、類天疱瘡、質的研究、体験
【目的】天疱瘡、類天疱瘡はどちらも希少疾患である。中等症以上の患者は、ステロイドや免疫抑制剤を中心とした治療を要し、入院期間が1-2ヶ月と長く、身体面だけでなく様々な影響を受ける可能性がある。このような患者に、感染予防、水疱への創傷管理、疼痛コントロール、栄養管理やボディイメージの変容への支援など多岐にわたる看護を実践している。一方、天疱瘡、類天疱瘡患者を対象にした先行研究は少なく、患者が療養生活を通してどのようなニーズを抱えているのかは明らかになっていない。そこで、本研究では、天疱瘡、類天疱瘡患者の療養上のニーズを明らかにすることを目的とした。【方法】本研究は質的記述的研究である。研究参加者は天疱瘡、類天疱瘡の中等症以上の診断(再発患者も含む)を受けて、入院加療をした経験がある20歳以上の患者で、現在大学病院に通院中の者とした。参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、個人情報の保護について文書と口頭で説明を行い、書面にて同意を得た。データ収集は半構造的面接法を用いて、研究参加者11名に、診断から現在に至るまでの療養生活を振り返ってもらい、身体的・心理的・社会的なニーズについてインタビュー調査を行った。データは質的記述的に分析を行った。【結果】インタビュー対象者は、天疱瘡6名、類天疱瘡5名の計11名(平均年齢65歳、男女比4:7)で、罹病歴は1-31年であった。療養上のニーズとして、7カテゴリ、16サブカテゴリ、127コードが生成された。発症時から治療が開始されるまでの身体症状が強い時期は、[水疱やびらんに伴う身体的苦痛]だけでなく、[不確かな状況に置かれることによる不安や恐怖]といった精神的苦痛を抱えていた。治療開始後は、[難治性の希少疾患がもたらす戸惑いや焦り][希少疾患による自己肯定感の低下]など心理的・社会的な苦痛や[ステロイドを中心とした治療に伴う日常生活への障害]が生じたことで、[病と共生するための情報・サポートのニーズ]が生じていた。さらに、多面的な苦痛に直面しながらも、療養の体験を通して、患者は、[療養生活を契機とした前向きな気づき]を獲得していた。【考察】天疱瘡、類天疱瘡患者は、難治性及び希少疾患であること、ステロイドを中心とした治療によって、身体的のみならず心理的、社会的なニーズを抱えており、全人的な看護ケアが必要であることが示唆される。