第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演24群 疾病とともに暮らすことへの支援②

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第11会場 (G319)

座長:谷本 真理子

[口演Y-24-5] 長期療養患者の特性に合わせた口腔ケアプロトコールの導入とケア継続への取り組み

岡里 八重1, 篠川 敦子1, 山本 麻美1, 宮島 淳子1, 高野 ちか子1, 上野 栄一2 (1.富山県リハビリテーション病院・こども支援センター, 2.奈良学園大学保健医療学部)

Keywords:口腔ケアプロトコール、ケアの継続、口腔アセスメント(OHAT-J)

【目的】A病棟は脳性麻痺や神経難病の患者が長期療養中であり疾患や障害により個別性のあるケアを要する。特に人工呼吸器装着患者や経管栄養中の患者は誤嚥性肺炎を発症すると重症化しやすいため口腔ケアは非常に重要である。しかし、A病棟では配置換え等で対応する看護師が変わるためケアの方法や質が維持されにくい。そこで、患者の特性を踏まえた口腔ケアプロトコール(以下プロトコールとする)を個別に作成し介入することでケアの内容と質を確保し継続意識の向上を図りたいと考えた。【方法】経管栄養中のOHAT-J高リスク患者2名とA病棟看護師24名を対象とした。患者の特性や口腔状態に応じたプロトコールを個別に作成し口腔ケアを1ヶ月間実施した。介入前後にOHAT-Jで口腔内評価を行い、看護師に口腔ケアに対する認識、プロトコール導入の利点と改善点、継続の可否等の質問紙調査を実施した。結果はウィルコクソンの符号付き順位和検定にて統計処理し自由記載は共通する内容で分類した。データ分析はSPSSを使用し有意水準は5%とした。対象者には研究への自由参加と途中辞退の権利、参加の有無に関わらず不利益を与えないこと、情報の守秘について口頭と文書にて説明し同意を得た。【結果】OHAT-Jの評価は2名とも介入後の合計スコアに改善がみられた。質問紙調査では口腔ケアが十分行えているかについて、介入前は「とても感じる」1名、「やや感じる」13名、「あまり感じない」9名、「全く感じない」1名であったのに対し、介入後は「とても感じる」1名、「やや感じる」20名、「あまり感じない」3名、「全く感じない」0名となり、回答を点数化すると、前後で平均値に0.34の上昇がみられ、十分に行えていると実感している看護師が有意に増加した(p=0.021)。プロトコール導入の利点は49の回答が得られ「ケア方法が理解できた」「やりがい、継続意識の向上」「ケア方法を統一できた」であった。改善点は「1人介助で実施できれば良い」「ケア時間を十分に取れない」等であった。【考察】患者の特性に合わせたプロトコール導入により口腔ケアの手技が標準化し、口腔状態の改善や看護師のケアへの継続意識の向上が図れたと考える。ケアの質の確保のためには長期的に実践できるプロトコールが必要であり、内容を適宜検討し介入していくことがケアの継続と継続意識の向上に繋がると考える。