第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演25群 医療安全

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第5会場 (G303)

座長:池田 美里

[口演Y-25-4] PICC自己抜去予防のための予防着の効果について

―インシデントレポートをもとに検証―

田村 和美, 上原 真美 (須藤病院)

Keywords:PICC、自己抜去防止、予防着

【目的】A 病院には末梢留置型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:PICC)の留置患者が入院している。適応は経口摂取が困難な患者、生命維持に必要なエネルギー(高カロリー輸液)や6 日間以上持続点滴の必要な患者としている。PICC は、従来から内頸静脈、大腿静脈などからカテーテルを留置する中心静脈カテーテル(centrally inserted central catheter:CICC)と比べて感染を起こす可能性が低く、比較的安全に管理しやすい。しかし、認知症等で理解を得られない患者ではPICC を自己抜去する危険があり、必要に応じて身体抑制が必要になる。今回我々は身体抑制を行わない手段として予防着を作成し、自己抜去件数がどの程度抑えられたかを調査したので報告する。予防着は特許出願中である。【方法】1.研究デザイン:後向き研究 2.研究対象:PICC を留置した患者 3.研究期間:令和元年1 月1 日~ 5 年3 月31 日まで 4.データ収集方法:予防着管理用紙、電子診療録からPICC 留置した患者情報、予防着使用有無と自己抜去をインシデントレポートから収集した 5.分析方法:単純集計 PICC 自己抜去件数をPICC 留置件数で除して割合を出した 6.倫理的配慮:予防着使用時は説明書を用いて、家族に同意のサインを得た。インシデントレポートの統計は管理者のみ行えるシステムであり、人情報保護に配慮している。【結果】予防着未使用のPICC留置件数は378 件でそのうち自己抜去件数は39 件(10.3%)であった。予防着使用のPICC 留置件数は101 件で自己抜去の件数は4 件(4.0%)と半分以下に減少した。【考察】臨床現場では身体抑制禁止例外3 要件を鑑み、止むを得ずミトン等を行っている現状があると感じていた。そこで身体抑制を実施しない方法がないか考えた結果、今回予防着の作成に至った。予防着使用有無とPICC の自己抜去件数を集計した結果、半分以下に減少したことで予防着の効果を証明することができた。また安全にPICC 管理が行えた事で、看護師の精神的ストレス、再挿入などの業務負担軽減にもつながり看護の質が向上したのではないか。今後予防着がもたらす看護師への影響も検証したい。今回の予防着が多くの医療現場で使用され、様々な病期にも適応していくことを望みたい。