第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演26群 せん妄への対応

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第6会場 (G304)

座長:杉本 環

[口演Y-26-2] せん妄アセスメントスケール導入による看護介入の視点の変化

中島 悠紀子, 岡田 美紀, 徳山 薫 (東京大学医学部附属病院)

Keywords:せん妄、アセスメントスケール、J-NCS、看護介入の視点

【目的】救急科の固有床をもつ一般病棟の看護師が、せん妄アセスメントスケールのJ-NCS(Japanese of the NEECHAM Confusion Scale) を使用することによって生じる、せん妄患者に対する看護介入における視点の変化を明らかにする。【方法】2022年8月~2023年4月までにA病院に所属していた看護師で、看護師長と一年目を除く看護師23名のうち、2022年4月時点でクリニカルラダー1~4を取得している看護師を、6名層化無作為標本抽出法を用いて抽出し、15分程度で半構造化のインタビューを実施する。録音した内容を逐語録に起こし、類似性のあるものを関連付け分析し、コード化・カテゴリー化する。本研究は倫理審査委員会(承認番号:2022064NI)の承認を得て実施した。対象者へは事前に書面と口頭で研究目的、インタビューの録音について説明し同意を得た。途中で離脱しても不利益が生じないことを説明した。インタビューは、対象者の体調・心身の疲労に注意を払いながら実施した。得られたデータはパスワードロックをつけて保管した。【結果】看護師6名にインタビューを実施した結果、18のコードが抽出され、「患者評価への自信」「客観的かつ多角的な評価」「他看護師と共有することの重要性の認識」「患者対応への看護師の気持ちの変化」「患者の理解・捉え方の変化」の5のカテゴリーに分類された。J-NCSを使用することで、せん妄か判断する際の「患者評価への自信」につながり、点数化・可視化によって、複数の看護師で「客観的かつ多角的な評価」が可能となっていた。また、チームで話し合い、継続した看護ケアを実践していくために「他看護師と共有することの重要性の認識」を持つことができていた。そして、「患者対応への看護師の気持ちの変化」が生じたことで、患者をより深く理解しようとする「患者の理解・捉え方の変化」が起き、患者の良い面を引き出す看護ケアをしようとする意識の変化が見られた。【考察】J-NCSを使用することで、せん妄を客観的かつ多角的に評価することが可能となり、看護師の内面に変化をもたらした。そして、チーム力を向上させることで、せん妄を改善させる看護ケアが継続的に実施できるような、せん妄患者に対する看護介入における視点の変化が生じていることが明らかになった。