[口演Y-29-2] DVDを用いた術前オリエンテーションの有効性
―術前オリエンテーションの均質化と看護の質の変化―
Keywords:DVD、看護の質、術前オリエンテーションの均質化
【目的】DVDを用いた術前オリエンテーション(以下、術前オリと略す)が、B病棟経験年数を問わない均質化したものとなり、患者と関わる時間に変化があるか検証する。【方法】医師やリハビリセラピストの意見を得てDVDを作成した。DVD導入前後の術前オリに関するアンケートを実施した。調査内容の各項目について記述統計を行い、導入前後の平均値の比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を用い統計処理を行った。自由記述は内容の類似性に基づき整理した。また、術後1病日目から3病日目を担当する看護師が患者の術後離床の理解状況を4段階評価する患者理解度調査を実施した。倫理的配慮として研究対象者の個人情報保護を遵守した。【結果】B病棟研究対象看護師25名のうち、22名から回収を得て回収率88%であった。アンケート内容の『術前オリの時間的負担』『B病棟経験年数による術前オリ内容の違い』『術前オリで、患者は術後のイメージができているか』は有意差を認めた。DVD導入後に、患者と関わる時間が「増えた」の回答は全体で37%であった。術前オリに対する満足感が「ある」の回答は導入前36%、導入後73%と増加したが有意差は認めなかった。そのうち、B病棟経験年数3年目以下の看護師は81%に増加、4年目以上は50%に減少した。DVD導入後の調査内容の自由記述では離床することを理解し意欲的な姿が見られたと答えていた。また、患者理解度調査では、患者が離床できていると回答が多くあった。【考察】DVD導入により、患者は術後の状態をイメージし理解できたことで補足説明が減り、術前オリ時間が短縮し時間的負担が軽減した。また、B病棟経験年数を問わない術前オリの均質化が図れた。術前オリの時間的負担は軽減しても業務が忙しく、患者と関わる時間が増えない現状が明らかになった。術前オリに対する満足感は全体では高まったが、B病棟経験年数4年目以上では低下した看護師がいた。患者の理解度や反応に合わせた個別性のある術前オリが十分でないと自覚し満足感が低下したと考える。患者と関わる時間を確保する意識付けや個別性を重視した関わりを持つことが、術前看護の質の向上に繋がると考える。DVD導入後の調査内容と離床についての患者理解度調査結果から、患者は術後1病日目からの離床の必要性を理解し意欲向上に繋がったことが示唆された。