第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演29群 周術期の看護②

Thu. Nov 9, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第6会場 (G304)

座長:遠藤 篤也

[口演Y-29-3] 全身麻酔患者に向けた口腔ケアパンフレット作成し配布した効果と課題

―口腔内ケアによる合併症予防―

恩田 万里夏 (八潮中央総合病院)

Keywords:全身麻酔患者、口腔ケアパンフレット、外来看護師との連携

【目的】全身麻酔下での気管内挿管等により細菌が押し込まれ、肺炎の発症リスクが高くなることが明らかとなっており、口腔ケアにより口腔内細菌が減少し、術後肺炎などの合併症予防や在院日数の短縮につながるとされている。前研究結果において、手術前日のみでの口腔ケアの促しでは口腔内状態の改善が不十分であった。そこで本研究では、外来看護師と連携し入院前に口腔ケアを促すパンフレットを配布することで、挿管時の口腔内状態に改善がみられるかを明らかにすることを目的とする。【方法】2021 年7 月~ 10 月、全身麻酔予定患者74 名に、入院前より外来看護師と連携を図り口腔ケアを促すパンフレットの配布と説明をおこなった。また、対象者属性を収集し挿管時にEilers 口腔アセスメントガイドを基にスコア換算し、プロトコール分類別に口腔内の評価をした。なお、本研究を実施するにあたり個人が特定されないよう配慮し、倫理委員会の承認を受け対象患者に目的及び方法、本研究以外で使用しない旨を説明し同意を得た。【結果】平均年齢60 歳であり、口腔内の状態は44 名(60%)の6 割が正常であり、軽度機能障害は24 名(32%)と3 割程度、中等度~重度機能障害は6 名(8%)と1 割以下であった。また日常生活自立度別では、ランクA の正常率は45.5% であり、ランクJ、B、C では50% 以上が正常であった。前研究結果での口頭のみでの口腔ケアの促しとの比較では、スコア正常率が12% 向上し重症度率が14% 減少していた。【考察】正常率が6 割以上であったことから、外来看護師と連携したパンフレット導入は、入院前に口腔ケアの必要性の認識向上に寄与したと考えられる。記憶の8 割は視覚記憶であり、72時間後には口頭で説明するより絵を使用し説明した方が6 倍以上記憶に残るとされている。そのため、パンフレットを用いた説明は口頭のみの説明より、口腔ケアの必要性について早期に認識したことが推測される。しかし、前研究と同じ患者での比較でないことや同じ属性集団ではないことにより、パンフレット導入による口腔内の改善に繋がったと考えるのは難しく、本研究の限界であった。このことから、比較対象者の人数や年齢、性別、日常生活自立度、基礎疾患や歯肉に影響を与える薬剤服用状況、ADL などの同じ属性集団による比較対象患者が必要であり、本研究の課題であったと考え次研究へ繋げていきたい。