[口演Y-29-4] 周術期消化器がん患者の否定的感情に対する熟練看護師の対応
Keywords:がん患者、否定的感情、対応、術後消化器がん
【目的】周術期消化器がん患者の否定的感情に対して熟練看護師がどのように捉えて対応しているか明らかにすることで、経験年数の短い看護師の成長に繋がると考える。【方法】質的帰納的研究デザインとし、看護師経験年数が10年以上かつ消化器外科病棟に在籍3年以上の看護師を対象に、インタビューガイドを用いて60分程度の半構成的面接を行った。倫理的配慮として、研究協力は自由意志に基づく事、不利益を被らない事、匿名性を保護する事、研究成果の公表について口頭と文書で説明し同意を得た。【結果】対象6名中6名より同意を得た。捉え方として『ストーマ造設による今後に対する患者の不安』『周術期における患者・家族と医療スタッフ間の思いの相違による感情』『看護師に対する患者の攻撃的、依存的な感情』『看護師に生じた気持ちの葛藤』の4個のカテゴリと、対応として『怒りに向き合う』『患者の気持ちを受け止め傾聴する』『身体的苦痛の緩和』『関わり方の工夫』『患者へ情報提供する』『同僚へのフォロー』『病棟スタッフや他職種と情報共有し記録に残す』の7個のカテゴリを抽出した。【考察】ストーマ造設によるボディイメージの変化について十分に受け入れられていなかったことで『ストーマ造設による今後に対する患者の不安』が発生した。また、手術に対して否定的な思いを抱える患者と手術を受けて欲しいという思いを抱える家族・医療者の思いの違いから『周術期における患者・家族と医療スタッフ間の思いの相違による感情』が生まれていた。患者が今後への不安や手術に対して否定的な思いを抱くことで『看護師に対する患者の攻撃的、依存的な感情』が生まれていた。しかし『看護師に生じた気持ちの葛藤』がありながらも、『怒りに向き合う』ことや『患者の気持ちを受け止め傾聴する』ことで周術期の患者が抱く感情の変化を受け入れていた。その上で『身体的苦痛の緩和』や、社会復帰が出来ている患者の話や日常会話の提供など『関わり方の工夫』『患者へ情報提供する』と共に『病棟スタッフや他職種と情報共有し記録に残す』、否定的感情を向けられた『同僚へのフォロー』といった対応をしていた。患者は今後への不安や、患者・医療者間の思いの相違から、看護師への攻撃的な感情が発生するが、熟練看護師は葛藤を抱きながらも怒りに向き合い、気持ちを受け止めながら対応していることが明らかになった。