第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演30群 創傷ケア①

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第7会場 (G312+G313)

座長:小田 慈

[口演Y-30-2] 周術期高齢患者におけるスキントラブル予防に関する看護アセスメントの実態

―整形外科病棟において―

高橋 廣成1, 松下 由美子2 (1.国保依田窪病院, 2.佐久大学大学院看護学研究科)

Keywords:スキントラブル、周術期、整形外科、高齢者、看護アセスメント

【目的】周術期におけるスキントラブルには様々なものがあるが、整形外科の場合、医療用装具の装着や体位制限によるスキントラブルを起こしやすい状態とされる。整形外科周術期にある高齢患者に対して、看護師はどのように観察、アセスメントし、スキントラブル予防対策の実践に結び付けているのかの実態は十分に把握されていないため、その実態把握を研究目的とした。【方法】倫理的配慮として研究協力者に研究の主旨、協力は自由意思であること、協力が得られなくても不利益が生じないこと、データの管理や匿名性等について事前に文書で説明し、同意書への署名を取り交わした。研究方法は皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍しないA 県内二次救急病院の中から、協力が得られた3 施設の整形外科病棟勤務の看護師3 名に半構造化インタビューを実施した。録音データから逐語録を作成し、指導者のスーパービジョンを受け質的記述的分析を行った。【結果】協力者3 名のそれぞれの施設概要は全身麻酔を含む整形外科手術が実施されている150 床以下の病院に勤務し、看護師歴は2 ~ 15 年であった。A 氏からは5 カテゴリー、B 氏からは3 カテゴリー、C 氏からは4 カテゴリーが抽出された。その主な内容は、スキントラブル予防に関する観察、多職種連携、看護計画の立案等であった。コードでは「褥瘡痕にはスキンケアをしない」、「看護師がアセスメントをしないですぐに医師に上申、報告することにジレンマがある」、「皮膚が弱い患者にはビニールテープ(工業用)を使う」等があった。また整形外科手術に関連した諸情報の語りはなく、整形外科術後特有のスキントラブルや予防的スキンケアの語りは乏しかった。【考察】整形外科周術期において手術に関連した諸情報や予測されるスキントラブル、予防的スキンケアについての語りが乏しかったことから、看護師はスキントラブル予防に関する知識不足並びに観察不足の状態にあると考える。今後の課題としてスキントラブル予防のための現任教育の充実を図る必要がある。また、医師に依存的な組織風土の存在や誤ったケア方法が用いられていることについては、看護師の保守的な特性が関与していると考える。日々進歩を続ける医療やケア方法を取り入れた適切なスキントラブル予防ケアを提供するために、最新の看護技術の動向を把握し、組織の変革に取り組み、その成果を可視化する必要がある。