第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演30群 創傷ケア①

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第7会場 (G312+G313)

座長:小田 慈

[口演Y-30-3] 創内持続陰圧洗浄療法時の洗浄漏れに関しての検証

―創内圧とポリウレタンフィルムのよれに焦点をあてて―

森口 友紀, 吉田 幸貴, 中村 文美 (福岡県済生会福岡総合病院)

Keywords:創内持続陰圧洗浄療法(IW-CONPIT)、QOL、創内圧、洗浄液漏れ、ポリウレタンフィルムのよれ

【目的】創内持続陰圧洗浄療法(以下、IW-CONPIT)は感染創などへ用いられる治療方法である。A病院においても形成外科医によりIW-CONPITが行なわれているが、洗浄液漏れが起こった際に看護師による的確な対処法が行われていない。洗浄液漏れの要因を検討することで具体的指導ができ、治療継続による早期治癒が患者のQOL向上につながると考えた。洗浄液漏れの要因は創の形状、大きさや流量など複雑であるが、IW-CONPITを行う上で一番大切である創内圧の管理と、一般的に漏れの要因と考えるポリウレタンフィルム(以下、フィルム)のよれの有無の2点に注目し実験を行ったので報告する。【方法】研究対象をA病院看護師2名とした。看護師それぞれがIW-CONPITを自身の下腿に実施し、メラサキュームの陰圧は全例-50cmH2Oで行った。創面と洗浄液の液面の高さが同じだと圧差は0となる。圧差0の状態から-50cmH2Oの圧をかけ陰圧、洗浄液の液面の高さが創面より50cm高い場合を圧0、液面の高さが創面より60cm高い場合を陽圧と設定した。フィルムを貼付する際に皮膚との間に鑷子で隙間を作成し、よれ有りと設定した。陽圧、陰圧、圧0でよれが有り、無しの6パターンを5回ずつ実験した。なお、洗浄量は1000/ml日をクレンメで滴下調整している。倫理的配慮として、データから個人が特定できないように配慮し、分析結果は本研究以外に使用せず速やかに破棄した。【結果】創内圧別による洗浄液漏れ量の平均値は陽圧24.15g/回、陰圧2.55g/回、圧0は4.75g/回で、分散分析で有意差を認めた。フィルムのよれによる洗浄液漏れ量の平均値はよれ有り13.8g/回、よれ無し7.16g/回で、分散分析で有意差を認めた。全体的にフィルムのよれ有りの方が漏れやすく、陽圧の際はフィルムのよれとの交互作用があり、創内圧が陰圧、0の際はフィルムのよれとの交互作用は認めなかった。【考察】創内圧が陽圧の場合は全例で洗浄液漏れを起こしており、フィルムをよれなく貼ったとしても創内が陽圧になれば必然的に漏れは発生する。よって創内を常時陰圧に保つことが最も重要である。患者のQOL向上に繋げるためには、IW-CONPIT時の注意点を創内が陽圧にならないよう具体的に指導、教育を行う事が重要である。