第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演30群 創傷ケア①

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第7会場 (G312+G313)

座長:小田 慈

[口演Y-30-4] B病棟における新規褥瘡発生の要因と課題

小野 紗季, 田口 こずえ, 加藤 真由美 (日本赤十字社長崎原爆諫早病院)

Keywords:褥瘡発生要因、ポジショニング、課題

【目的】A病院B病棟の新規褥瘡発生率は全国平均を上回っている。そこで、本研究でB病棟における新規褥瘡発生の要因と課題を明確にすることを目的とした。【方法】2019年4月~2022年5月に4つの調査を実施した。①2019年4月~2021年12月B病棟で新規褥瘡発生患者20名の診療録調査:褥瘡発生の患者要因と環境・ケア要因の情報収集。2022年5月にB病棟看護師を対象に②アンケート:褥瘡ケアに関する認識、③基礎知識テスト:皮膚・褥瘡ケアの基礎知識、④ポジショニング抜き打ち調査(3例):独自作成の評価表を用いた技術評価。それぞれの調査は記述統計を用いて分析し、患者側の要因を①で、看護師側の②認識、③知識、④技術を含め褥瘡発生の要因と課題を検討した。所属施設の倫理委員会の承認を得て実施し、研究対象者が参加拒否を連絡できるようA病院のHP上に掲示した。データは個人が特定されないよう配慮し、厳重に保管管理した。【結果】①患者側要因として、日常生活自立度B1以下が95%であり、A病棟基準では60%以上が褥瘡リスク有りであり、褥瘡発生者の75%以上は栄養状態の低下があった。発生部位は、上位から仙骨部、踵骨部、外踝部で、踵骨部と外踝部は合わせて8例であり、足部の発生が多かった。②看護師の認識では褥瘡予防ケアは高い割合で行っていたが、背抜きの手技の理解は不十分であり、約半数が自分の褥瘡予防ケアの知識や観察が不十分と認識していた。③基礎知識テストは平均80.6点であり、経験年数で点数差はなかった。ポジショニングピローの使用方法と背抜きの手技の正答率が低かった。④3例中2例は踵のポジショニングが不十分で、ピローの使用が少なかった。【考察】患者側の要因として、褥瘡の危険因子や日常生活自立度、栄養状態でもリスク有りが過半数を占め、高リスク状態にあった。看護師側の要因とも合わせると、知識・技術不足による足部のポジショニングが十分にできなかったことが、特に足部に褥瘡発生が多かったことにつながっていると考えられる。また看護師は経験年数にかかわらず褥瘡予防ケアに対して自信のなさや不安を感じていた。今後は、褥瘡予防ケアの理解を促し、患者の適切なリスク評価を行ったうえで、知識・技術の習得を目指し統一した看護ケアができるようにすることが課題である。