第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演31群 創傷ケア②

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 第7会場 (G312+G313)

座長:小田 慈

[口演Y-31-3] 褥瘡新規発生の減少に向けた取り組み

土谷 舞子, 石本 由里子 (岸和田徳洲会病院)

キーワード:褥瘡、行動変容、保湿ローション

【目的】A病棟は消化器外科病棟で、体位変換やポジショニングを確認しながらOJTも含め実施していたが年間平均12%以上の褥瘡発生があった。そこで、褥瘡発生患者を見直したところADL全介助、栄養状態不良、鎮痛薬使用患者だけでなく、病状が安定しており、ADLが自立している患者にも褥瘡が発生していた。また、その発生件数は約半数に及ぶことがわかった。現在の介入ではスキンケアが不足していることに気づいた。スタッフに現状を伝えインタビュー調査を実施し、スタッフ全員の行動変容が必要としていることを確認し、病状が安定している患者の褥瘡発生の予防・発生率の低下を目的とした。【方法】1:体位変換と同時にOJT を施行し、ポジショニングの確認を継続 2:患者は特定せず褥瘡発生患者の分析 3:ADL は自立しているが、離床意欲が低く臥床傾向の患者に保湿ローションを使用 4:分析結果から、発生件数や患者全員に褥瘡発生リスクがあることを繰り返し伝え意識付けを行った 5:保湿ローションをスタッフ個人で持てるように在庫数を増やし、ケア用ワゴンに設置することで、スタッフの動線に配慮した 6:ケア時にベッドサイドでその都度患者に説明し、了承を得てから保湿ローションを使用した。【結果】全体の褥瘡発生率:2021年度(介入前)14%→2022年度(介入後)10%・ADL自立患者の発生率6%→2%【考察】術後は体力や活動性が低下し臥床時間が長くなっていることから、褥瘡発生リスクは高くなる。たとえADLが自立しているからといって、褥瘡発生リスクが低下したとはいえない。そこで、体位変換やポジショニングを実施していたにも関わらずが発生した褥瘡に対し、さらにケアが必要と感じ、皮膚のバリア機能を維持することから介入した。セラミドが含まれる保湿ローションを使用したことで、皮膚の保湿や保護ができ、リネン類やおむつなどの摩擦から保護できたと考えられる。また、保湿ローションを塗るという単純作業にすることでスタッフに受け入れてもらうことができたと考える。介入の目的を繰り返し明確に伝えていくことで、スタッフの協力を得ることができた。繰り返し訴え続けたことがスタッフの意識付けにもなり、行動変容に繋がったと考えられる。また、スタッフの意識の中に、褥瘡発生によりQOLを低下させてはいけないという思いが共通認識としてありそれが強固となったものと考える。