第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演32群 家族看護

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第7会場 (G312+G313)

座長:佐藤 律子

[口演Y-32-2] 介護度の高い患者の自宅退院後の主介護者の思いから在宅介護を可能にしている要因を考察する

森田 さき1, 櫻井 恵真1, 八木 久美子1, 高畑 香織2 (1.榛原総合病院, 2.湘南鎌倉医療大学)

Keywords:介護度の高い患者、自宅介護、主介護者、思い

【目的】自宅退院をした介護度の高い患者の主となる介護者が抱えている思いを明らかにし、在宅介護を可能にしている要因を検討した。【方法】自宅退院後、介護度の高い患者の主介護者に、在宅介護に対して抱える思いについて半構造化面接を行った。分析は逐語録を作成し、研究目的に関するコードを抽出した。KJ 法を用いてカテゴリー化し、研究者間で検討を繰り返し、妥当性を検討した。研究への参加は対象者の自由意思であり、途中辞退の権利、匿名性の保護等を説明して同意を得た。X 病院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】対象者は3 名で、50 ~ 70 歳代、いずれも介護者の実子であった。12 のカテゴリーが抽出された。主介護者は<世話になった親への恩返しをしたい>という気持ちが根底にあり、<在宅を望む親と共に過ごしたい>と考え、<自宅で介護をしようと思ったきっかけ>を機に在宅へ移行し、実際に行なっている<介護の工夫と喜び>を感じていた。半面、要介護者の体調管理等、実際の<介護で感じる困難感>や<自身の体力や健康の衰え等に伴う自宅介護の負担感>を有していた。それらにより<在宅か施設の選択に伴う葛藤>が生じているが、<地域の特性や隣人を支配する社会通念>や<親を看るのは子の役割だという認識>から在宅介護を選択していた。さらに、<医療と福祉サービスの活用による介護負担の軽減と安心感><介護を協力・支援してくれる人達の存在からくる安心感>があり、<在宅介護をする上で病院に希望する支援内容>が語られた。【考察】在宅介護の選択要因の一つとして、<地域の特性や隣人を支配する社会通念>の影響も考えられる。介護者世代の年代による信念だけでなく、周囲に在宅介護を行う家庭が多い地域の場合、世間体を気にして在宅介護を選択している可能性も否定できない。実際に“ 親だから看てるだけ” という<親を看るのは子の役割だという認識>が形成され、施設への入所を選択しない理由になっていると思われる。この役割意識が、“ 一人で介護するのは大変” と、負担感を増強させている。また、研究対象者は全員実子であり、世話になった親への恩返しや親と共に過ごしたいという願望も選択の要因に影響を与えていたと考える。さらに、在宅介護を通して得られる喜びも感じており、介護福祉サービスの利用、医療者や家族からの支援がある安心感が在宅介護の継続に繋がっていると考える。