第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

口演

口演32群 家族看護

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第7会場 (G312+G313)

座長:佐藤 律子

[口演Y-32-3] 集中治療室で働く看護師が意識障害患者の家族へ家族看護を実践するまでの思考のプロセス

福田 詩織 (横浜南共済病院)

Keywords:ICU看護師、家族看護、意識障害、

【目的】集中治療室(Intensive Care Unit:以下ICU)で働く看護師が、意識障害患者の家族に対して、どのような反応から何を感じ、考えて家族看護を実践しているのかを明らかにすることを目的とした。ICU 看護師の家族を捉える視点を明らかにすることで、集中治療領域における家族看護の早期実践や、看護師育成の一助になると考える。【方法】研究対象者はICU に所属している看護師経験年数16 年目以上、かつ意識障害患者の家族と関わった経験のある看護師経験年数16 年目以上の看護師2 名である。データ収集はインタビューガイドを用い、面接内容は研究対象者の承諾のもと録音した。分析方法は、逐語録を作成した後、ICU 看護師が意識障害患者の家族への家族看護を実践するまでの思考を抽出した後、カテゴリーを生成し質的記述的に分析した。研究対象者には、研究の主旨や目的の他、研究参加は自由意志であり研究に参加しない場合や同意の撤回時は不利益を被ることはないこと、得られたデータは本研究の目的以外に使用しないことやデータの匿名性や秘密保持等について文章と口頭で説明した。【結果】研究対象者の看護師経験年数は平均20.5 年、ICU 経験年数10.5 年であった。データから72 コードが抽出され、18 サブカテゴリー、6 カテゴリーから構成された。ICU 看護師が意識障害患者の家族へ家族看護を実践するまでの思考のプロセスの6カテゴリーは[患者ケアの充足と継続した家族看護への視点]、[家族の不安定な心情を読み取り看護ケアに繋ぐ糸口を探る]、[患者と家族にできた心の距離を少しでも繋ぎ合わせる]、[家族の内面に秘めている思いを引き出す]、[家族の受け止めに合わせた看護ケアの実践]、[経験から感じる病状を理解した家族主体の意思決定の大切さ]であった。【考察】ICU 看護師は、患者の容姿の変化による家族の心情を推察して家族が患者を取り戻せるような看護ケアを取り入れており、患者の容態が一喜一憂する状況下で家族の不安定な心に寄り添い、家族が現実に対処できるような支援に繋げていた。またICU 看護師が意識障害患者の家族へ家族看護を実践するまでの思考は、家族が表現する反応を捉えることから始まり、家族の受け止めの歩幅に合わせた家族看護の実践へと繋げていく重要性が示唆された。