[口演Y-33-3] スポーツ整形外科病棟におけるトランスジェンダーに対しての看護の実態
Keywords:トランスジェンダー、セクシャアル・マイノリティ、LGBTQ
【目的】スポーツ整形外科におけるトランスジェンダーに対する看護実践の実態を知る。意義として、トランスジェンダー患者の看護実践の暗黙知を抽出することでトランスジェンダー患者への看護師の対応や看護実践の質統一への判断材料となる。【方法】A病棟所属の看護師26名(2年目以上)を対象に無記名記述式質問紙調査研究。年齢・看護師経験年数、スポーツ整形経験年数とトランスジェンダー患者の対応の有無を含めた7項目。質問項目ごとにデータを単純集計でまとめ分析した。倫理的配慮として、自由記述式用紙への記載は無記名で自由意思であり、提出をもって同意とした。記載しなくても不利益は生じない。研究目的以外には使用しないことを口頭で説明した。【結果】アンケート配布26名中、22名から回答を得た(回収率84.6%)。そのうち、トランスジェンダー患者の看護実践があると回答した看護師は16名72.7%(有効回答率100%)。平均36.9歳、看護師経験13.1(±11.1)年であった。質問1.入院オリエンテーション時は排泄経路の変更の有無、手術後の排泄介助の方法について確認をしている。2.コミュニケーションについては、性について触れる場合は個室希望の有無、筆談、ジャスチャー等で工夫している。3.医療者間での情報共有では特に排泄ケア時の配慮や方法について統一したケアを行うよう意識している。4.清潔ケア時には、患者の意向や要望を事前に確認した上でプライバシーを確保している。陰部洗浄は可能な限りウォシュレット対応ができるように医師に確認している。5.プライバシーの確保に関しては特別な対応はない。6.呼称については本人の要望に沿っている。【考察】回答者の約73%がトランスジェンダー患者の看護実践経験があり、事前に医師記録からでは得られない排泄経路や方法に関する情報を意識的に取得していることが分かった。さらに、これらの情報を医療者間で共有している。このように、トランスジェンダー患者への理解が深く、排泄ケアに配慮していることが示唆された。性に関連した情報についてのコミュニケーションはプライバシーに配慮してノンバーバルコミュニケーションを取り入れている。一方で、約27%の看護師には実践経験がない。統一した看護を提供するためにトランスジェンダー患者が入院する前に対応方法について暗黙知を共有するツールや場作りが必要だと考える。