第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演35群 看護管理者等の実践・能力

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 第8会場 (G314+G315)

座長:渡邉 眞理

[口演Y-35-2] A病院の看護管理者の倫理的行動が看護者に与える影響

牧野 真美1, 早瀬 良2 (1.JCHO 四日市羽津医療センター, 2.中部大学生命健康科学部保健看護学科)

キーワード:看護倫理、倫理的行動、看護管理者

【目的】A 病院の看護管理者の倫理的行動が看護者に与える関連を明らかにし、看護実践の質向上に生かす。【方法】研究デザイン:量的記述的研究 対象者:A 病院看護師503 名 期間:2022/11/14-2022/11/27 データ収集方法:自記式質問紙調査 質問内容:属性(年齢・性別・臨床経験年数など)6 項目、倫理的問題について考える経験など15 項目、大出(2020)の「看護師の倫理的行動尺度改訂版」各15 項目(看護師の自己評価・看護管理者の倫理的行動の他者評価)許諾済の合計46 問。分析方法:記述統計及び相関分析、有意水準は5%未満とする。倫理的配慮:研究への参加は自由であり、不利益が生じないことを保証、データの取り扱いは個人が特定されないようにプライバシーの保護に務めた。【結果】回収数304 枚(60.4%)、有効回答89.4%。女性258 名(94.9%)、男性14 名(5.15%)。平均年齢35.2 歳(± 11.0)。スタッフナース240 名(88.2%)、副看護師長18 名(6.6%)、看護師長14 名(5.1%)。上司の想定:看護師長215 名(71.7%)、看護部長40 名(13.3%)、副看護部長29 名(9.7%)、その他16 名(5.3%)。相関分析の結果、看護者自己評価全体と看護管理者評価全体(r=.28、p < .001)であった。中でも、看護管理者が患者の個人情報の保護を徹底している(r=.436、p < .001)、看護管理者がインフォームドコンセント時に患者の意思表示をしやすい雰囲気つくりをしている(r=.354、p < .001)、看護管理者が患者の話を聞く機会を積極的に作っている(r=.273、p < .001)と正の関連があった。また、看護管理者が危険防止を目的とし、最低限の抑制にするよう指導している(r=.232、p < .001.)、患者ケアは常に患者への安全に配慮するよう指導している(r=.225、p < .001.)ことが示された。【考察】看護管理者の倫理的行動は、看護者の倫理的行動と有意な関連があることから、看護管理者は意識して倫理的行動をとる必要がある。自分の倫理観を伝えることも大切であるが、自身が倫理的行動をとっている場面を見せることこそが、看護職の倫理的行動につながっていることが示唆された。