[口演Y-35-4] 看護師長が管理日勤・夜勤で活用している管理能力について要件を明らかにする
―「看護管理者コンピテンシー・モデル」を用いて―
Keywords:看護管理、コンピテンシー、管理日勤・夜勤、他職種、マネジメント力
【目的】看護師長が管理日勤・管理夜勤で活用している管理能力の要件を明らかにすることで、看護師長が現場支援を行うために管理能力向上へ向けて更に備えるべき要件を明らかにする。【方法】A 病院の倫理審査委員会の承認を受け、研究協力者の同意を受けて個人情報保護等の倫理的配慮を行った。自作自記式質問紙による調査研究。管理日勤・夜勤において難渋した事象は救急患者の受入れや他職種との対応から看護師長として過去に経験がない事に判断を求められる際に悩んだ体験の自由記載内容をデータとした。分析方法は基本統計分析とし、自由記載は意味ごとにコード化し、類似性のある内容をまとめてサブカテゴリー・カテゴリーを抽出する質的帰納的分析とした。サブカテゴリーの抽出には、東京大学医学部付属病院看護部と東京大学医科学研究所附属病院看護部とで共同開発された「看護管理者のコンピテンシー・モデル」に基づき、著作権法を守りレビュー対象の文献が示している意味を損なわないよう配慮し分析を行った。【結果】調査対象者29 名、回答率は93％。コロナ禍の特殊な状況の中、管理日勤・夜勤で難渋した事象内容からは、他職種を巻き込んだマネジメント力が明らかになった。看護管理が困難と考えられている思いや考えからは185 コードから、20 のサブカテゴリーが抽出され、更に「感染管理（38）」「病床管理（27）」「看護管理（91）」「相談応援依頼（29）」の4 カテゴリーに分類された。更にコードとコンピテンシー・モデル5 領域との関連性を分析した結果、［企画実行力］が51 コード、次いで［思考力］47 コード、［個人の特性］38 コード、［チーム運営力］34 コード、［影響力］15 コードとの関連性が導き出された。中でも企画実行力内のコンピテンシー質保証、次いで思考力内のコンピテンシー分析的思考・専門性の発揮が高いことが明らかとなった。【考察】看護師長が、管理日勤・管理夜勤の難渋事象から、他職種からの相談や応援依頼の判断・対処が求められていたことが明らかとなる。看護師長は質保証のため「分析的思考・専門性の発揮」を活用し対処していた事が示された。今回、管理日勤・管理夜勤下で用いられていた、管理能力の要件を導き出すことができた。効果的な現場支援を行うために、日々の看護管理場面からコンピテンシーに着目した管理能力の更なる向上を課題としていく必要がある。