[口演Y-35-5] 病院における外来の在宅療養支援体制強化に向けた取り組みの実態
―A県内の病院看護管理者を対象とした全数調査―
Keywords:外来、在宅療養支援、看護管理者
【目的】近年、医療機関における外来看護ニーズは多様化し、外来の在宅療養支援体制の強化は、喫緊の課題である。そこで本研究では、A県内の病院看護管理者を対象に外来の在宅療養支援体制の強化に向けた取り組みの実態を把握することを目的とした。【方法】A県内の病院60施設の看護部長に研究協力依頼書を送付し、インターネットを利用してアンケート調査を実施した。分析はSPSSⓇ Ver.29を用い単純集計とχ2検定を実施した。研究対象者に、研究目的、方法、研究参加の自由意思、不利益を被らないこと、結果は関連学会で公表することを文書で説明し同意を得た。【結果】49病院より回答が得られた(有効回答率81.7%)。対象病院の属性(重複回答)は、特定機能病院1(2.0%)、地域医療支援病院19(38.8%)、在宅療養支援病院7(14.3%)などであった。病床数200床未満が73.5%であり、ほとんどが「かかりつけ医機能」を担う医療機関であった。外来における在宅療養支援体制強化の取り組みについて、「外来看護マニュアルの作成」(実施:18.4%、検討中:36.7%)、「在宅療養支援関連委員会の設置」(実施:20.4%、検討中:32.7%)「在宅療養支援展開のための組織づくり」(実施:22.4%、検討中:36.7%)「在宅療養支援に関する勉強会の開催」(実施:26.5%、検討中:36.7%)であった。在宅療養支援体制強化に取り組んでいる病院では(自由記述)、地域支援者との連携窓口の明確化、行政との連携体制、訪問看護ステーションとのタイムリーな情報共有などを実施していた。また、専門・認定看護師がいる病院は75.5%であり、その内、外来部門へ配置していたのは38.8%であった。専門・認定看護師を外来部門に配置している病院では、「外来看護マニュアルの作成」(p=0.001)「在宅療養支援に関する勉強会の開催」(p=0.016)「在宅療養支援関連委員会の設置」(p=0.021)について、取り組めている割合が有意に高かった。【考察】在宅療養支援体制強化に向けた取り組みを実施している病院は2割程度にとどまっていたが、検討中と回答した病院は3~4割程度あった。具体的な取り組みとして、地域支援者・行政との連携、継続看護の推進を図っていた。また、専門・認定看護師の外来部門への配置が、在宅療養支援体制の強化に影響していることが示唆された。