第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演35群 看護管理者等の実践・能力

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 第8会場 (G314+G315)

座長:渡邉 眞理

[口演Y-35-6] 文献からみる認定看護師におけるコンピテンシーの要素

渡邉 はる美1, 青木 和惠1, 糸川 紅子2 (1.東京医療保健大学, 2.日本赤十字秋田看護大学)

キーワード:認定看護師、行動特性、コンピテンシー

【目的】制度発足以来、認定看護師は看護の専門性を開拓し、多職種チーム医療の核となるなど、医療に変革とも言える進歩を起こしてきた。複雑化、高度化を辿る日本の医療において、その存在は重要であり、将来にむけてさらに行動力のある認定看護師が求められる。そこで問われるのが認定看護師のコンピテンシーである。認定看護師のコンピテンシーの要素を文献より明らかにし、将来の日本の医療を担う認定看護師像の検討の資料とすることである。【方法】文献検索)国内文献は医中誌Web版(Ver.5)とCiniiを用いて文献検索を行った。検索アルゴリズムは(a)対象となる集団を限定する用語として「認定看護師」がタイトルまたはアブストラクトに含まれること、(b)認定看護師の行動を表す用語として「コンピテンシー」を含むこと、(c)認定看護師の行動の中に含まれる用語として、「臨床能力」、「専門能力」、「精神能力」を含むこととした。分析)対象とした文献を精読し、「コンピテンシー」、「臨床能力」、「専門能力」、「精神能力」に関して記述された内容を抽出してデータ化した。これらに関する知見について意味内容を損ねないようコード化し、類似性に基づいてカテゴリーを生成して統合した。分析の厳密性について、看護研究者3名で検討した。【結果】本研究の趣旨に沿うと思われる11件を分析対象とした。対象の文献より認定看護師のコンピテンシーの要素は73個のコードとなり、“遂行するべき職務から生まれた行動特性”と、“職務遂行のプロセスから生まれた行動特性”の2個のサブカテゴリーに分類することができた。2個のサブカテゴリーのうち、“職務遂行のプロセスから生まれた行動特性”からは「患者ケアへの専門家としての意思」、「職務に対するしなやなか姿勢」、「創造・構想を現実にする開拓力」、「専門家としてのアイデンティティ」の4カテゴリーが抽出された。【考察】今回わかった認定看護師のコンピテンシーの要素からは、その根底に専門性を獲得しようとする決意と、獲得した専門性を進化させたいという覇気があることが想像された。認定看護師が今後さらなる医療、看護の発展に欠かせない存在であり続けるためには、今後も“職務遂行のプロセスから生まれた行動特性”をさらに生み出し獲得していくことが必要であるが、そのためには、これらの根底にあるものを抽出していくことが必要となる。