[口演Y-36-1] 急性期病棟におけるPNSⓇ導入後の運用実態
―勤務経験2年目以下と3年目以上の看護師の比較―
Keywords:PNSⓇ、看護提供方式、看護師、質問紙法、チームナーシング
【目的】X 病院では中堅看護師不足による看護ケアの質の保持への対応として、パートナーを固定しない独自のPNSⓇを導入した。しかし、現在までその評価は実施していない。本研究の目的は、PNSⓇの運用実態を調査し、経験年数別の2群で比較して今後の課題を検討することとした。【方法】対象者は急性期病棟でのPNSⓇ経験が6 ヶ月以上の看護師とし、WEB での質問紙調査を行った。質問項目は「看護師のPNS行動測定尺度」を参考に、研究者が作成した19 項目とした。また、看護実践におけるPNSⓇ活用の必要性への回答を求めた。参加は自由意思であり不参加でも不利益は無く、分析では個人が特定されないことを質問紙に明記した。X 病院では、卒後3 年目よりリーダーシップ研修の対象となることから、勤務経験年数1-2 年目(15 名)をA 群、3 年目以上(34 名)をB 群とし2 群比較を行った。分析はEZR ソフトver.2.4 を用い、Man-Whitney 検定及びFisher の正確確率検定を行い、両側検定で有意水準5% とした。【結果】対象者73 名中49名(67.1%)から回答を得た。リーダー経験者は27 名(55.1%)、未経験者は23 名(46.9%)であった。[超過勤務時間の減少]について「できている」と回答したのは、A 群8 名(53.3%)、B 群7 名(20.6%)であり、「できていない」の回答はB 群で有意に多かった(p < 0.04)。[適切なフィジカルアセスメント][パートナーとの患者情報の共有や確認行動]については、両群とも80%以上が「できている」と回答し、有意差はなかった。[看護提供方式としてPNSⓇが必要か]という項目に「必要」と回答したのは、両群とも80%を超えており有意差はなかった。【考察】X 病院では、提供される看護ケアに差が生じないように日々のパートナーを組んでいる。パートナー間での連携や協働への評価は高いことから、安全安楽なケアの提供に繋がっていた可能性があり、看護実践におけるPNSⓇの必要性が示唆された。一方で、PNSⓇはX 病院勤務経験年数3 年目以上の看護師群への業務量を増大させ、[超過勤務時間の減少]の項目に影響を与えたと考えられる。今後はPNSⓇの長所を活かしながら、看護師3 年目以上の負担を軽減できるよう定期的な評価と運用の見直しを行い、より良い看護ケアへ繋げていく必要がある。