第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

口演

口演36群 看護の体制整備

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第8会場 (G314+G315)

座長:竹﨑 和子

[口演Y-36-6] 全職種の専門性を活かした業務拡大をめざして

―これまでの当たり前をかえる―

柴﨑 里美, 吉田 美香, 小南 伸子, 真鍋 由美子, 磯 弓子 (明石医療センター)

Keywords:専門性、共同、タスク・シフト/シェア

【目的】タスク・シフト/シェアの推進のための法令改定により、医療関係職種の業務範囲が拡大されたことを機に各職種が専門性を発揮するため業務改善を実施した。これまで我々看護師は多くの業務をシフトされる側であり当たり前のように引き受けてきた。その結果、看護の専門性を見失いかけ、看護業務のひっ迫から看護師のモチベーションの低下につながっている。これらの莫大な業務を今一度、見直し看護師がやるべきこと、他職種に依頼することを整理した。そして、双方の利益につながることを目指すと共に、看護の専門性が発揮できる時間を確保することを目的に取り組んだ。【方法】各職種の専門性を発揮し業務拡大するために、多職種が参集するタスク・シフト/シェア委員会で活動目的を提示した上で、他職種と「業務改善計画書」を作成しワーキングメンバーを主に組織的に取り組んだ。タスク・シフトする際には「専門性」と「資格を要する業務」であるかを視点に整理した。次に、看護部内でタスク・シフト/シェアすべき項目、削除する項目、気になることなど細かな業務を抽出した。【結果】タスク・シフト/シェアした項目は診療放射線技師による「静脈路の確保」である。法令改定により業務拡大が認められた診療放射線技師自ら申し出てきたこともあるが、看護師が知識の確認、手技の獲得など支援しながら丁寧に移行した。薬剤の管理については薬剤管理などモデル病棟で実践し、看護師が関与していた薬剤業務が減少した。そして、看護部内でタスク・シフト/シェアすべき項目、気になる項目の中で上位を占めた、医師の指示出しルールの逸脱への対応や書類関係を事務職に移行した。また、資格を要さない業務においては基準を作成した上で看護補助者へ移行した。他職種と検討を重ねる中で、これまでの当たり前としていた業務が多数、洗い出され改善ができた。これらは他職種の困りごとであったことが話し合いをする中で表面化し解決に至った。【考察】タスク・シフト/シェアする際には双方の理解と共同が重要である。検討を行う中で組織的に意思統一できたこと、シフトする側の気持ちを理解し丁寧に話し合いを行い、些細な事も取り上げ解決したことが効果的であった。今回の取り組みでは業務の効率化は図れたが、看護師として確保できた時間を今後どのように活用し、モチベーションの向上を図り看護の専門性を発揮するのかが課題である。