第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演38群 看護職の心の働きとその対処②

2023年11月9日(木) 09:00 〜 10:00 第9会場 (G316+G317)

座長:中野 敦子

[口演Y-38-1] 夜間にRapid Response Team(RRT)を要請する際の一般病棟看護師の困難感についての実態調査

小田原 昌平, 乾 早苗, 津田 千香子, 田畑 亜希子, 橋本 瞳 (金沢大学附属病院)

キーワード:RRS、RRT、急変、一般病棟看護師、困難感

【目的】夜間にRRTを要請する際に、一般病棟看護師が感じている困難感を明らかにすることで、適切なタイミングでのRRT要請につながり、院内心停止や重症化を防ぐことができるのではないかと考えた。【方法】無記名自記式質問紙を独自に作成し、一般病棟で夜勤を行っているA病院の臨床看護実践能力段階(ラダー)5以上の看護師を対象に実態調査を行った。質問紙では、看護師の院内ラダー・リーダー経験の有無・クリティカルケア部署の経験の有無・RRTの要請経験の有無・夜間にRRTを要請することの困難感の有無を調査した。また、要請する際の困難感の要因21項目を独自に作成しそれぞれ「夜間のみ思う」「昼のみ思う」「昼夜問わず思う」「思わない」の4項目から選択式で調査した。得られた結果は単純集計・カイ二乗検定を用いて比較した。対象者には説明文書を通して研究内容や参加の有無により不利益が生じないことを説明し、質問紙の提出により本研究の参加に同意とした。【結果】看護師357名に質問紙を配布し256名から回答を得た。内172名が困難感を感じていた。クリティカルケア部署の経験がない方が有意に困難感を感じていた。リーダー経験・RRT要請経験の有無・ラダー毎では、有意差は認めなかった。夜間のみ思う困難感の要因については、「時間帯によって医師に相談することを躊躇する」が最も多く、「医師が院内に待機しておらず気軽に相談できない」「要請したいがRRT対応時の一般病棟のマンパワー不足を感じる」が続いた。昼夜とも思う要因については、「急変に関する知識技術に自信がない」が最も多く、「要請をすることは責任が重く気軽にできない」「要請基準(何か様子が変だ)に自信がない」「要請するタイミングがわからない」「要請の報告の仕方に自信がない」「RRTとの振り返りがなく対応があっているか不安である」が続いた。【考察】夜間は、医師に連絡を躊躇したり医師が不在であるからこそ、より急変に関する知識や技術・アセスメント能力の向上を行い、看護師一人一人が患者の状態判断や適切な報告ができるようになることが必要だと示唆された。そのためには今後、RRTと病棟がRRT出動事例の振り返りを共同して実施・数値化されている要請基準の周知・報告の仕方を学習することで、医師に相談や適切なタイミングでRRTを要請することができるのではないかと考えられる。