[口演Y-38-3] 救命後方病棟に入院する患者の急変に対応する若手看護師の経験
―半構造化インタビューの内容分析- 呼吸状態に焦点を当てて―
キーワード:呼吸の観察、若手看護師、急変予測
【目的】救命後方病棟で働く若手看護師の患者急変の予測に重要な呼吸に関する観察の経験を明らかにする。【方法】救命後方病棟で勤務する経験年数2 〜 3 年目の看護師10 名を3 つのグループに分け、患者の状態の急変前から急変後にかけての呼吸の観察についての判断と行動について、及びそれに対処する上で困難に感じたことについて半構造化グループインタビューを実施した。音声データは逐語録にし、類似性に基づきサブカテゴリー・カテゴリーを抽出し、データに忠実に導き出されているか常に元のデータに立ち戻り、研究指導者のスーパーバイズを受けて信憑性の確保に努めた。インタビューはプライバシーが配慮される場とし、逐語録の情報は、個人が特定できないように記載し、目的以外に使用しないこと、参加は自由意志であることを説明し、同意を得た。【結果】3 つのグループ各40 分のインタビュー内容の分析の結果、233 のコードから〈患者に同時に出現した呼吸の現象を経験しながら、自分の知識と現在の状態を統合して、自分ができることを行い振り返る〉、〈状況を報告する相手との関係性によって適切な報告が難しくなることや報告のタイミングを計ることに困難を感じている〉を含む16 サブカテゴリーと、《自分の呼吸観察の傾向を知り、先輩看護師を手本としながら自らの経験を重ねる》など6 カテゴリーが抽出された。【考察】救命後方病棟の若手看護師は、呼吸観察から急変予兆を察知する困難を経験しながらも呼吸観察の知識と技術を統合し、先輩看護師の一連の方法を手本にしながら、患者の呼吸状態の変化を急変の予兆として捉えていた。また、呼吸状態の観察とそれに応じた行動の一連のプロセスで、患者に起こる複雑な現象と、自身の経験としての呼吸状態の変化の「気づき」とを関連させていた。その一方で、「気づき」を察知する経験をしながらも、患者の複雑な状態への優先順位がつけられないことや、報告する相手との関係性によって呼吸状態の「気づき」に対して適切なタイミングで報告できない困難を感じていた。患者の急変予測のための呼吸観察とその対応をするためには、自身の過去の経験から得た「気づき」を、現在向かい合っている患者へのケアへと統合するために、実践の中でのタイミングや看護の意味をとらえて判断し、行動するリフレクション・イン・アクションの訓練が重要であることが示唆された。