第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演38群 看護職の心の働きとその対処②

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第9会場 (G316+G317)

座長:中野 敦子

[口演Y-38-4] 若手看護師の病棟間応援への思い

高野 恵子, 大塚 瞳, 竹野 沙世子, 林 綾菜 (富山赤十字病院)

Keywords:病棟間応援、若手看護師、思い

【目的】若手看護師が病棟間応援を行う上での思いを明らかにし、病棟間応援体制を整える一助とする。【方法】1. 研究デザイン:質的記述的研究、2. 参加者:202X 年4 月~ 202Y年3 月の期間で病棟間応援をする経験年数4 年目までの看護師5 人、3. データ収集期間:2022 年6 月~ 7 月、4. 方法:個人インタビューを実施し、録音したデータから逐語録を作成し、質的データとして分析した。独自に作成したインタビューガイドは、1) 病棟間応援を依頼された時の思い2) 病棟間応援で印象に残っている場面3) ネガティブ、ポジティブな思いになったきっかけ4) 病棟間応援を終えた時の思い、の4項目とした。研究参加は自由意思であり、同意を撤回しても不利益は生じない事を説明し同意を得た。【結果】188 コードを抽出し、20 サブカテゴリに抽象化され《経験の少ない自分に出来る事は限られている》《他部署でのケアは慣れない》《知らない業務には抵抗がある》《看護師としての責任のもとに看護を行いたい》《周囲との関わりから満たされた気持ちになる》の5 カテゴリにまとめられた。【考察】若手看護師が病棟間応援を行う際は、《経験の少ない自分に出来る事は限られている》という思いが根底にあった。若手看護師は助言や指導が必要な段階であり、技術や知識の未熟さを自身で認識している。その為、他部署での応援では更にその思いを強く持ち、《他部署でのケアは慣れない》という思いが生まれていた。また、病棟間応援は若手看護師にとって初めての体験が多く、患者や自分の安全性が保障されないと感じる事で《知らない業務には抵抗がある》という思いが生まれていた。一方で、このような状況であっても、《看護師としての責任のもとに看護を行いたい》という思いのもとに、自部署での経験を活かして病棟間応援を担っていた。若手看護師がこれまでの経験を活かし、患者と時間をかけて良い関わりを持つ事や、行った看護に対して良い評価を受ける事は、ポジティブな思いや安心に繋がる思いになっていた。これは、病棟間応援では若手看護師に指示が必要であり、行った看護に対して評価する事が重要なコーチングになっていたと考える。これらの病棟間応援の中での学びや、患者との良い関わり、スタッフ・管理者からの良い評価等の周囲との関わりは、《周囲との関わりから満たされた気持ちになる》という思いに繋がっていたと考える。