第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演38群 看護職の心の働きとその対処②

2023年11月9日(木) 09:00 〜 10:00 第9会場 (G316+G317)

座長:中野 敦子

[口演Y-38-5] 好みの音楽による看護師の心理的ストレス緩和効果の検討

矢﨑 杏菜, 朝倉 栞 (豊川市民病院)

キーワード:看護師、音楽、ストレス、職場環境

【目的】勤務中のストレス緩和に向けた職場環境整備の基礎資料とするために、勤務中の記録時間に好みの音楽を聴くことによる看護師の心理的ストレス反応の変化を明らかにする。【方法】量的研究の準実験研究、A 病院看護師24 名をA群(1 回目音楽あり、2 回目音楽なし)、B 群(1 回目音楽なし、2 回目音楽あり)の2 群に無作為に割付け、2 群は同じ環境下で行った。音楽ありとは、パソコン作業を中心とした看護記録関連業務を自分で用意した好みの音楽を流しながら30 分間行うことをいう。データ収集方法は、1 回目実施後、2週間後に2 回目を実施した。2 群共に実施前に属性調査を行い、作業前後に職業性ストレス簡易調査票の心理的ストレス反応18 項目を調査した。音楽あり群は音楽のジャンルと実施時間を調査した。データ分析方法は、2 群の作業前後の心理的ストレス反応得点を集計し、下位項目得点と合計得点の平均を比較した。シャピローウィルク検定によるデータの正規性を確認し、正規分布の場合はT 検定、正規分布でない場合はU 検定を用い、有意水準は0.05 に設定した。A 病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施し、対象者に研究の趣旨と倫理的配慮を説明し同意を得た。【結果】音楽あり群の作業前後の心理的ストレス反応は、活気は前8.7 ± 1.9、後7.3 ± 2.3。イライラ感は前4.8 ± 2.2、後3.7 ± 1.3。疲労感は前7.0 ± 2.5、後5.1 ± 2.0。不安感は前6.1 ± 2.3、後4.5± 2.0。抑うつ感は前10.5 ± 3.3、後8.6 ± 3.0。心理的ストレス反応合計得点は前37.1 ± 9.8、後29.3 ± 9.1 と有意差があったが、音楽なし群では全ての項目に有意差はなかった。【考察】山下は、研究参加者が好き嫌いを選択した音楽を用い、ストレス負荷時における音楽のストレス軽減効果について検証した。その結果、嫌いな音楽聴取時や沈黙時と比較して研究参加者が選択した好みの音楽を聴取することでストレスが有意に低下したと述べている。本研究は、山下の結果と同様に作業中に好みの音楽を聴くことで心理的ストレス反応が有意に低下したと推測される。このことから、作業時間に好みの音楽を聴取することは、勤務中のストレス軽減に繋がったと考えられる。本研究では、好みの音楽聴取以外の変数がストレス反応の変化に影響しているのか検討することが今後の課題である。