[口演Y-39-3] 病院看護師の語りから捉えた自部署の看護実践の価値
Keywords:看護実践、価値、病院
【目的】本研究は、看護師の語りから、看護職が行う自部署の看護実践(以下、実践という)が潜在的に持つ価値、すなわち何に役立ち貢献しうるかを抽出することを目的とした。実践が持ちうる価値を明らかにすることで、各部署での実践の意義を看護職自身や他者が再認識できると考えた。【方法】2018-2019 年に5 病院10 病棟の看護師長及び看護師33 名に半構造化面接を実施した。自部署での実践やその意図、それらの実践が何に役立っていると思うかや実践の結果を尋ねた。逐語録から実践の内容、意図、帰着を抽出し、類似性によりまとめ、実践の価値として概念化した。また、実践と生成した概念の関係 を確認した。研究参加は自由意思とし、同意を得て実施した。参加状況は上司には伝えず、プライバシーに配慮した。【結果】看護師の語りには価値がある、あるいは役立っていると認識もしくは確信していない実践も含まれた。しかし語られた実践の意図や帰着に、実践が役立った対象やもたらす成果が確認できた場合は、実践が持ちうる価値として概念化した。その結果、部署での実践が潜在的に持つ7 つ価値(『』で示す)が抽出された。『患者が必要な治療やケアを受け、回復もしくはよい状態に向う』『患者・家族が納得できる療養生活を継続する』は看護の対象者への価値であり常に存在していた。併せて、自部署で「一時的な役割を担う」「診療科や機能、特徴を活かしたケアを担う」「成果を引き継ぎ新たな役割を担う」ことで『病院組織の各部門・部署がその役割やそこでのケアを効果的に担う』、『病院組織が円滑に運営する』、といった組織内での自部署の機能や役割に関する価値も抽出された。「患者が他施設や地域でスムーズに生活を継続できるよう、継続できるケアに移行する」などにより『地域や他施設とともに繋がりのあるケアを提供する』、『国や政策の方針を理解した実践を担う』、『部署内外の他者のスキルや価値観を拡げる』などの価値も抽出された。看護師自身が部署での実践に複数の価値を実感していない場合も、語られた1 つもしくは1 連の部署での実践には複数の側面の価値が含まれた。【考察】看護師が語る自部署の実践には、患者に対する価値だけでなく、他の部署や施設の効果的な実践、他者のスキル拡大、病院経営などの複数の視点が含まれていた。部署での実践には多様な価値が同時に存在する可能性が示された。