[口演Y-40-4] 評価の差異に生じる「違和感」から見えた看護教育上の課題
Keywords:実習、評価の差異、違和感
【目的】看護学実習中や実習終了後に行う学生評価と教員評価の差異に違和感を覚えることがある。その違和感とは具体的に何なのかに着目し、何故に違和感が生じるのかを具体化することで、看護教育上の課題を明らかにすることを目的とした。研究意義は看護教育の教育発展に貢献することにある。【方法】研究方法は文献レビューとした。分析方法は評価の差異または違和感に関連した内容が記載されている対象論文より、研究例にある実習中の学生の言動に違和感を持った看護教員、または臨地実習指導者の言動を抽出した。その抽出した内容を5 つのカテゴリーに分類し、その内容から浮かび上がる現状を考察することとした。倫理的配慮では先行研究の明示には配慮を行い、盗用及び剽窃とならないように出典や成果を明記することとした。【結果】文献レビューにより、評価の差異に違和感が生じる理由には、〈できたことを認めない過小評価またはできたと過大評価している状況〉、患者理解を疎かにしている学生に対して〈患者に関心を向けていない状況〉、健康段階を捉えず〈患者に合わせたケアができていない状況〉、同じ指導をしていても他人事のように受け止めている〈伝わり方が学生により違う状況〉、相性の合わない学生への対応に対して〈価値観の違い〉が生まれる等の5 つの状況下において、担当教員または指導者は違和感が生じていることがわかった。【考察】評価の差異に違和感が生じる理由の背景には、学生のこれまでの実習と比較した実習評価と、教員の実習毎の実習目標達成度の視点で付ける評価には違いが生じること。また、受け持ちを許可してくれた患者の思いを大切にして欲しいという願いにより、患者のもとに足を運び、患者を理解しようとする精一杯の努力姿勢が見たいこと。患者の健康段階に合わせながら、一緒に回復に向かう看護を提供して欲しいという願い等が挙げられる。このように看護教員には看護師兼看護教員としての表裏一体の願いがあり、多くはこの願いにより評価の差異に違和感が生じているのだと考えられた。これらから、教育上生じる「違和感」から見えた看護教育上の課題には、1.「教員という看護師であり看護師でもある教員としての役割困難」、2.「学生を理解した上での指導・教育が十分にできない」、3.「多重課題に対応できる具体的な評価方法がない」ことを挙げ、今後の展望に関する考察を行った。