[口演Y-40-5] 3年課程看護師養成所の新人看護教員の能力到達度と学習ニードに関する研究
Keywords:新人看護教員、能力到達度、学習ニード
【目的】全国の3 年課程看護師養成所の新人看護教員を対象に、看護教員に求められる能力到達度および学習ニードの実態を調査することを研究目的とする。本研究の意義は新人看護教員に必要な継続教育における基礎資料となると考えられる。【方法】研究方法は量的研究であった。調査項目は、属性、臨床および教員経験年数、専任教員養成講習会の受講および新人教育プログラムの有無、能力到達度の自己評価、学習ニード、学習の場や学習支援への要望とした。分析方法は記述統計（平均、標準偏差、t 検定、分散分析）とした。舟島らの学習ニードアセスメントツール－看護学教員用－は著者らに使用許諾を得た。倫理的配慮として自発的同意と参加とし、拒否による不利益を被らない、個人情報の保護について文書にて説明した。【結果】全国から無作為抽出した3 年課程看護師養成所118 校に無記名自記式質問紙を郵送し、日本看護学校協議会が提示した看護教員のラダーによる分類で3 年以下の新任期と４～ 6 年の一人前期の看護教員を対象に返信が得られた72 名（回収率20.3％）のうち69 名（有効回答率95.8％）を分析対象とした。対象者の属性は男性11 名（15.9％）、女性58 名（84.1％）、平均年齢は43.9（SD = 6.8）歳であった。臨床経験年数は3 から20 年、教員経験年数の平均は3.4（SD ＝ 1.4）年であった。専任教員養成講習会の修了者は51 名（73.9％）、受講中の者は4 名（5.8％）、未受講者は14 名（20.3％）であった。能力到達度（35 点満点）の平均値は23.3（SD ＝ 5.7）点であった。学習ニード（168 点満点）の平均値は143.5（SD ＝ 15.8）点であった。教員経験年数が長い者の方が能力到達度は有意に高く（p < 0.0001）、能力到達度が低い者は学習ニードが有意に高かった（p ＝ 0.027）。学習の場や学習支援への要望では、自己研鑽の時間の確保が17 名と最も多く、次いで指導体制への要望が7 名であった。【考察】看護教員の能力到達度は、教員経験年数と関連し、能力到達度が低い者ほど学習ニードが高かったことから、新人看護教員への学習支援の重要性が示唆された。看護師から教員へと役割転換した新人看護教員の継続教育には、教育に必要な知識・技術・態度に関する学習と、自己研鑽に必要な時間の確保や教員の学習環境への支援が必要であることが示唆された。