[口演Y-41-1] 看護基礎教育課程での解剖生理学「呼吸と血液のはたらき」における学生のつまずきを支援する教授方略の検討
Keywords:看護基礎教育、解剖生理学、教授方略、ガニェの9教授事象、理解と記憶の支援
【目的】解剖生理学では「情報量が多い中での要点の把握」、「目に見えない人体の構造や機能の複雑さ」、「人体のメカニズムの難解さ」、「看護と関連付けた理解の困難さ」のつまずきが、学生の「理解」と「記憶」の妨げとなっている。そこでガニェの9教授事象に則り、学生のつまずきの支援に繋がる教授方略を考案、授業実践の効果と課題を検証した。本研究での授業実践の成果の検証は看護基礎教育課程の解剖生理学での「理解」や「記憶」を支援する授業デザイン検討の資料となることが期待される。【方法】1年次5月、33名を対象にした「呼吸と血液のはたき」での「理解」と「記億」が困難な学習内容を抽出し、ガニェの学習成果分類「知的技能」の階層分析による学習順序性に沿って、9教授事象に則った授業を設計、実践した。つまずきの支援として、ワークシートの活用やラベル学習、呼吸体験、看護場面の動画視聴を行った。授業アンケートは、科目修得試験後の7月に実施した。各テスト・試験の平均得点率、授業アンケート結果は単純集計、動画視聴後の学生の気づきは、テキストマイニングで分析した。本研究は協力施設の承認を得て実施、受講者へは研究の趣旨、方法、同意と撤回、個人情報保護、及び調査は成績には一切関係しない旨について、口頭で説明し同意を得た。【結果】各テスト・試験の平均得点率、授業アンケート結果では、概ね授業目標の達成を評価できた。また動画視聴後の学生の気づきは、看護師の観察や対応と「呼吸と血液のはたらき」の知識、スキルが関連付けられていた。一方学生の改善・要望のコメント、また筆者の授業分析からは、「授業時間内の学習」、「授業時間外の学習」について、学生の習熟度に応じた学習の仕組みや持続的に学習を支援する体制についての課題が抽出された。【考察】ガニェの学習成果分類による学習順序性に沿って、単元で「問題解決」すべきことを明らかにすることは、授業構成を組み立てる上で有用であった。また9教授事象に則った授業実践は、学習活動とフィードバックを強化し「人体の構造と機能」の知識やスキルを、長期記憶へ繋げる一助となったと推測する。学生のつまずきの更なる支援へ向けて、「授業時間内の学習」では自ら学習内容や学習方法を選択、「授業時間外の学習」では学習目標に到達した際も自ら発展学習を継続できるような指導方略の必要性について示唆を得ることができた。