[口演Y-42-1] “共育だより”を活用した新人教育
キーワード:新人教育のあり方、共育だより、可視化、行動変容、コロナ禍
【目的】コロナ禍で校内学習や臨床実習が十分に行えず、患者との直接的な関わりが少ない背景から、新人看護師のリアリティショックを軽減できるかが求められる。達成度、関わり方を可視化(以後“ 共育だより” とする)し、新人教育への行動変容を目的に取り組んだ。【方法】研究期間:令和3 年4 月1 日~令和5 年3 月、研究対象:新人指導を担う看護師24 名、調査方法:ポスターで共育だよりを作成し、統一した指導をするため、毎月、病棟内に掲示した。実施後6 ヶ月、1 年後に共育だよりの目標や達成度の把握ができたか、指導方法の理解や指導での関わり方の変化の有無、指導に対する不安の軽減状況をアンケート調査した。倫理的配慮:所属施設の倫理委員会の承諾のもと、本研究参加者には研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないことを書面にて同意を得た。【結果】月目標や新人の達成度が具体的にわかりやすく、どのように新人指導をして欲しいか掲示したため指導の参考になった、以前より自ら指導を行うようになった、指導することへの不安は軽減した、と9 割のスタッフから回答が得られた。また、8 割のスタッフが“ 共育だより”で、意識や行動に変化があったと回答したことから、新人教育に積極的な参加ができた。1 割ではあるが、どのよな関わりをすればいいのか分からなかったと答えた。【考察】“ 共育だより” を活用したことで、新人教育に積極的に参加でき、やりがいをもって指導することができた。アルバード・メラビアンは、『コミュニケーションには「言語情報7%」「聴覚情報38%」「視覚情報55%」の割合で影響している』と述べているため、視覚的な意識を高めた。しかし、1 割ではあるが、どのような関わりをすればいいのかわからなかったことから、菊地氏1) は「先輩看護師が新人看護師に対して指導方法や指導方針を理解した上で指導を行うと新人看護師やプリセプターの知識や技術の向上につながる。」と述べている。“ 共育だより” は、新人と先輩看護師間で、目標達成や自立度、理解度が容易に確認し、コミュニケーションが深まる機会となった。先輩看護師の指導者役割に対する認識を高め、新人看護師と共に成長していく共育へと方向づけることが重要である。