[口演Y-43-2] 終末期がん患者の意思決定支援に関する看護師の看護実践者ラダー別にみた支援の実際と課題
Keywords:意思決定支援、終末期、看護師のクリニカルラダー
【目的】B病棟の看護師の半数は看護実践者ラダー1(以下ラダー)であるため、患者の意思決定支援に関する課題も多く、急性期病院で終末期がん患者(以下患者)に対して意思決定支援を行うことにためらいがある。そのため患者の意思決定に関する看護師のラダー別にみた支援の実際と課題を明らかにする。【方法】〈研究方法〉質的記述研究デザイン〈対象〉1:B病棟での臨床経験のなかで終末期がん患者を担当したことがある2:B病棟で働くラダー1、2、3のいずれかをもつこれら2つの条件を満たした看護師で研究参加に同意が得られたものとする。〈分析方法〉逐語録をもとに実際と課題に関する記述を抽出し、語りのまとまりとして分類した。その後語りのまとまりから共通する特徴に分類し分析した。〈倫理的配慮〉A病院の規定する倫理綱領に則って、倫理審査にて申請、承諾を得た。研究による不利益を被らないこと、研究参加による精神的負担に配慮すること、同意撤回できることで同意を得た。【結果】ラダー1の意思決定支援の実際では「日々の関わりのなかでどうにかして患者の思いに向きあおうとしている」などの4つの特徴がみられた。課題では「自分ができる精一杯の関わりを考えて患者と向きあおうとしているが迷いがある」などの4つの特徴がみられた。ラダー2、ラダー3は割愛する。【考察】ラダー1の実際では急性期病院特有の多忙さの中でもがん患者に多くの時間を割き気持ちに寄り添いたいと思い、希望する過ごし方を実現するための意思決定支援を行おうとしていた。これは日本看護協会やA病院の各ラダー1の行動目標を十分に満たしている実践内容となっていることが明らかになった。ラダー1の課題では患者が望む最期を迎えて看取ることができた事例は少なく、患者との関わり方への迷いがあり心残りが見られた。成功体験やリフレクションによる自己の看護の振り返りをスタッフ間で共有することにより、自信を獲得する機会が必要であると考えられた。ラダー2、ラダー3は割愛する。