[口演Y-44-2] 一般外科病棟における患者急変対応における不安軽減を目的としたシミュレーション研修の効果
Keywords:急変対応、シミュレーション教育、不安、効果
【目的】高度急性期病院の一般外科病棟において、看護師を対象に急変対応における不安軽減に着目したシミュレーション研修のプログラムを構築した。研修前後の不安の変化を評価し、プログラムの効果を検証する。【方法】2021 年に勉強会とチームダイナミクスに重点を置いた急変シミュレーションを実施した。研究に同意が得られた看護師22 名を分析対象とした。研究対象者には、文書をもって研究主旨、参加の自由意思、個人情報保護、不利益を被らないこと、研究成果の公表について口頭と書面で説明し同意を得た。無記名質問紙を用いて研修前と研修1 か月後に、急変対応時の不安に関する調査を行った。調査票は19 項目で構成し、ABCDE アプローチに基づくアセスメント項目、挿管介助や末梢ラインの確保などの技術項目、チームダイナミクスに関する項目を含む。不安の程度を4 段階で自己評価し、不安がある者の割合を研修前後で比較した(χ 2 検定)。また、研修の評価も訪ねた。【結果】研修前の調査では、4 年目以上は気管挿管介助、人工呼吸器管理に不安があると回答した者が多かった。3 年目以下はほとんどの項目で不安があるとの回答が多かった。研修前後の不安の比較では、19 項目中7 項目で不安があると回答した者の割合が統計的に有意に減少した。「ABCDE アプローチ」は22 人中18 人(82%)から9 人(41%)に、「胸痛時の十二誘導実施」は12 人(54%)から5 人(23%)に、「末梢ラインの確保」16 人(73%)から8 人(36%)に減少した。チームダイナミクスについては、「自主的に発言」が59%から27%に、「クローズドループコミュニケーション」が77%から36%に減少した。シミュレーション研修に対する評価では、全員が効果的であったと答えた。自由記載では、自分に何ができるかなど行動が明確化になり急変対応の自信につながったという意見があった。【考察】シミュレーション研修は急変対応における不安の軽減効果が認められた。デブリーフィングとできるまで繰り返し実施する方法によって、急変対応のイメージ化や自信・スキル向上につながったと考えられる。一方で、不安が残存する項目も複数あった。研修後評価が1ヵ月後と早かったために、実際の現場での応用の効果を評価するには不十分であった可能性がある。さらに長い期間を経て評価する必要があると考えられた。