第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演44群 継続教育②

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第10会場 (G318)

座長:宮坂 佐和子

[口演Y-44-5] 急性期病院に勤務する1、2年目看護師がせん妄ケア獲得の必要性を意識するプロセス

下村 麻絵, 尾野 風花, 相羽 紗由美, 竹山 佳那, 原 美希 (札幌徳洲会病院)

Keywords:急性期病院、せん妄ケア、若年看護師

【目的】A 病院に救急搬送される患者の約7 割以上は、高齢者や緊急手術患者であり、せん妄発症リスクが高い。本研究では、経験年数1、2 年目看護師(以下、若年看護師)がせん妄ケア獲得の必要性を意識するプロセスを明らかにし、自律してせん妄ケアの学習ができる環境整備についての示唆を得ることを目的とした。【方法】研究の趣旨・個人情報保護等についてや同意後も随時同意撤回ができ、撤回による不利益を受けないことを文書と口頭で説明した。自由意志による同意を得たA 病院の周術期病棟に勤務する若年看護師を対象に、半構成的面接法で得たインタビューデータを質的記述的に分析した。【結果】14 人からのインタビュー結果、58 コードが抽出され、9 サブカテゴリー、4 カテゴリーに分類された。若年看護師は、[せん妄患者との出会いに対する負の感情・衝撃の記憶][患者のせん妄の兆候を感じ取る][せん妄を体験・経験し、せん妄ケアへの困難さ][患者の安全・安楽を守るための関わりをしたい]のプロセスから、せん妄ケアの必要性を意識していた。【考察】急激に患者が変化する様子や、BPSD の悪化を目の当たりにした経験が、恐怖や戸惑いといった負の感情を惹起したものであると考えられ、若年看護師の感情に影響を及ぼしていた。それは、せん妄ケアの標準化されたツール・教育不足が背景となっている可能性がある。そのため、せん妄の自己学習を深めることや、必要時に使用できるマニュアル等のツールがあることで、看護援助を提供する準備が整い、せん妄ケア実践について、患者本位の悩みや戸惑いが先行すると考える。また、経験年数に関係なく、患者の経時的な変化や精神症状が普段と違うという直感力が身についていた。せん妄ケアへの困難さでは、看護実践方法や安全確保のための抑制についてジレンマを抱えていたため、チーム全体で1 人1 人の患者と向き合い、個別性のある看護が提供できる環境を整備していく必要性が示唆された。若年看護師は、せん妄に対する専門性を高めるために、看護チームの一員として自覚し、看護実践方法を周囲から得ようと学習する。そして、せん妄ケアについての自己課題を見いだし、さらに学習することの必要性を認識していた。以上より、A 病院において、効果的なせん妄ケア教育や学習に活用することができると考える。