[口演Y-46-5] 新任看護係長の役割遂行支援
―リフレクションを実施して―
Keywords:新任看護係長、支援、リフレクション
【目的】2022 年4 月A 病院では、新たに3 名が看護係長(以下係長)に就任した。先行文献によると、新任看護係長(以下、新任係長)は着任に対し、周囲からの期待だけでなく役割に対する重荷、役割遂行への不安や戸惑いを持っていることが明らかになっている。さらに、新任係長の役割移行には経験学習が重要で、経験学習にはリフレクションが有用であるとされている。今回、新任係長として役割移行時に抱える不安や戸惑いを軽減し、役割発揮するための支援を目的に、新任係長を対象にしたリフレクションを既任係長が実施し、成果が得られたため報告する。【方法】1. 新任係長3 名を対象に既任係長がファシリテーターを担当し、リフレクションを合計5 回実施した。2. リフレクションでは新任係長が実践での出来事を振り返り、係長職としての実践を意味づけできるようファシリテーターが投げかけを行った。3. リフレクションを5 回実施した後、その効果について対象者に対してグループインタビューを行った。4. グループインタビューのデータを逐語録にし、内容の類似性からカテゴリーを生成した。5.倫理的配慮:リフレクション参加者には、目的、方法、個人情報の保護について文書と口頭で同意を得た。【結果】リフレクションには、新任係長が、1. 悩んでいるのは自分だけではないと思う機会、2. 他者の経験から係長の立場で行う管理の視点の学びを得る、3. 管理実践のわだかまりの克服、4. 他部署の新任係長との交流の効果があった。そして、リフレクション後に、課題解決の方法や他部署との連携など、新任係長の役割発揮に対する行動変容につながった。【考察】新任係長のリフレクションには上記の4 つの効果を認めた。保田は、「副看護師長への移行期の役割の変化は大きなストレスや課題に個人を遭遇させ、その後は外部からの支援や学習によって新しいステージに適応していく」と述べている。このことから、新任係長にとってリフレクションの場は、悩んでるのは自分だけではないという安心感や、自他の経験から係長としての管理実践を学ぶ場になった。そして、互いの思いを共有することで、共に支え合うきっかけづくりにもなったと考える。また、リフレクション後に「行動変容があった」との語りから、今まで係長として自信を持てないこともあったが、徐々に自信を持て、さらに次のステップへ踏み出すことになったと考える。