第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演49群 DiNQLを活用した看護の質向上②

2023年11月9日(木) 14:30 〜 15:30 第11会場 (G319)

座長:髙橋 陽子

[口演Y-49-2] 組織目標管理におけるDiNQL の活用と課題

―マネジメントリーダー育成と看護の質向上への第一歩―

中川 千草, 横山 洋子, 小島 三紀, 長屋 多佳子, 大内 晶美, 吉田 知佳子 (羽島市民病院)

キーワード:管理者育成、質評価、組織目標

【背景】
新型コロナウイルスにより混沌としている変化の激しい中で、A 施設において定年退職を迎え半数の看護管理者が入れ替わり、管理者育成は急務であった。そのため、マネジメントプロセスを学ぶ機会としてDiNQL に参画した。また、それまでは組織目標管理では昨年度比で目標値を設定していた。現在、ベンチマークを用いて各部署が組織分析し、組織目標を設定している。DiNQL 参画前後の管理者のコンピテンシー自己評価の結果を用いて、管理者の育成への課題について考察する。
【取組み内容】
1.導入前、看護の質に関する文献学習を実施。2021 年からDiNQL 参画を決定。2.看護の質向上を目指す組織運営体制を再編。3.ベンチマークを用いて組織分析を実施。4. 新体制での看護師長級以上のコンピテンシー自己評価をDiNQL参画前・後で比較し、マネジメントにおける課題を共同研究者間で検討した。なお、評価対象者にはデータ利用において同意を得ている。
【結果・成果】
1.DiNQL 事業におけるオンライン研修に看護師長級が参加。2.看護部組織運営活動である質向上部会は7 つの運営主体であった。看護の質向上部会を4つのリンクナース会と看護記録担当者会の5つに再編成した。3.DiNQL ベンチマークを用いて組織分析を行い、強みと弱みを明確化した。同規模施設における中央値と比較した。58 項目中【強み】3 項目、【弱み】は13 項目であった。特に中央値よりも低い評価は、① 75 歳以上の入院患者割合69.7%と高い。②身体拘束患者割合が中央値の2 倍であった。③転倒転落率は急性期・地域包括ケア病床群ともに高い結果であった。4.コンピテンシーは5 段階評価で行った。コンピテンシー【正確な自己評価】が1 ランク上昇した者が増加した。企画実行力は全体的に低い傾向にあったが、特に【顧客志向】が最も大きく低下した。次に【指導・強制力】、【トラブル対応】、【ネットワーク構築力】、【セルフ・コントロール】が低下していた。
【今後への示唆】
看護実践をデータ化し、同規模・同機能を持つ施設と比較したことで自施設の強みと弱みを明確することができた。そして、DiNQL により自施設の現状値を知り、看護の質のレベルが数値で明らかにされたことは、自己の顧客志向の評価を正す機会となった。まさに、VUCA 時代を乗り越えるためには、看護の質データを用いて、企画運営力を高め、看護実践の成果へ導くマネジメントリーダーの育成が課題である。

DiNQL 関連演題の抄録については、商標登録は省略しています。