[口演Y-7-2] 新型コロナウイルス流行下における看護職のストレス要因
Keywords:新型コロナウイルス、ストレス要因、仕事上のストレス
【目的】新型コロナウイルスが2019年から世界的に流行したことにより臨床は大きな影響を受け、感染症対策を優先した医療体制移行への対応とそれに伴う看護職の配置転換・人員不足・業務量・精神的負担の増加や面会制限による様々な問題が生じている。これらは看護師のストレス状況にも変化が与えている可能性が考えられる。そこで、本研究では、新型コロナウイルス流行前後で臨床における看護職のストレス状況とその要因を明らかにすることを目的とした。【方法】協力が得られた5病院の看護職約590名を対象に無記名のオンライン調査を行い、 計146名から回答を得た(回収率24.7%)。分析はバーンアウト(燃えつき症候群)尺度の3因子を得点に応じ「まだ大丈夫」「平均的」に該当したものを「安全群」、「注意」「要注意」「危険」に該当したものを「危険群」の2群に分けた。3因子を従属変数、基本属性・看護業務・仕事のストレスを独立変数としたロジスティック回帰分析から、影響を及ぼす要因の検討を行った。倫理的配慮に関して、回答する調査票は無記名とし個人が特定されないよう配慮した。対象者に配布する調査票と併せて説明文書を添付し調査票の返信をもって研究参加に同意が得られたものとした。【結果】多重ロジスティック回帰分析より、新型コロナウイルス流行後の看護師のストレス状況には「現在の仕事上のストレスの発散」が影響を及ぼしており、心理的疲労感や虚脱感、脱人格化を緩和するには「仕事上のストレス」の発散が重要であることが示された。一方で仕事の達成感や効力感には「仕事上のストレス」の発散は影響を及ぼしておらず、「ストレスや悩みに対して職場以外で相談できる人の存在」が重要であった。【考察】新型コロナウイルス流行下でも仕事上のストレスの発散が看護職のストレス状況に大きな影響を与えていた。新型コロナウイルス流行前では先行研究よりストレス緩和要因として「ストレスや悩みに対して職場で相談できる人の存在」が重要であることが示されていた。しかし、本研究の結果から新型コロナウイルス流行下では「ストレスや悩みに対して職場以外で相談できる人の存在」が重要であり、職場での他者との関係に変化が起きていることが考えられる。