[口演Y-8-1] コロナ病棟に勤務する看護師の心理状況
キーワード：COVID-19、看護師、心理状況、社会変化、コロナ病棟
【目的】2020 年1 月から福井県嶺南地域の中核病院でCOVID-19 感染症患者の受け入れを開始した。2022 年以降ウイルスの特性の変化、ワクチンの普及や治療薬の開発により死亡者数や入院者数が大きく減っており、先行研究で報告の多かったCOVID-19 が蔓延し始めた2020 年頃に比べ、新型コロナウイルス感染症患者専用病棟（以下コロナ病棟）で働く看護師の疲弊、心理やストレス内容が徐々に変化しているように感じた。そこで長期化するコロナ病棟に勤務する看護師の心理状況を明らかにすることを目的とする。【方法】1. 対象：2022 年4 月からA 病院コロナ病棟に在籍し、COVID-19患者の看護に携わっている看護師16 名 2. 調査期間：2022 年11 月～ 2023 年1 月 3. データー収集：研究者が作成したインタビューガイドを元に1 対1 で半構造化面接を用いてデーター収集を行った。一人につき30 ～ 40 分面接を行い同意を得て録音した 4. 分析方法：KJ 法にて複数名で分析を行った。インタビューで得られた情報から逐語録を作成後、全体像を把握し類似する言葉のグループを図解化し構造を明らかにして叙述化した 5. 倫理的配慮：A 病院の倫理審査委員会での承認を得た上で、参加の自由意思、個人情報の保護、データーの管理、不利益等を生じないことについて文章と口頭で説明し同意を得た。【結果】分析の結果大カテゴリーとして、前例がなく管理体制への苦慮、病院の体制への不満、現場スタッフの混乱、不満・苦痛、原動力、望む事、コロナ病棟勤務へのポジティブな思い、コロナ感染自体への不安、感染対策すれば不安軽減、偏見・差別、大きく変わらない、という11のカテゴリー、39 のサブカテゴリーが抽出された。【考察】ウイルスの特性の変化やワクチン接種の進捗に応じて社会が大きく変化した。病院の体制や方針がその都度変わる事が、現場スタッフの混乱や不満・苦痛に繋がった。一方で偏見や差別を受けつつも、看護師としての使命感や責任を持ち職務にあたる者もいた。長期化するコロナ病棟に勤務する看護師は2020 年の感染拡大初期も現在もストレスが多く過重労働でありながらもポジティブな思いを持ち看護を行っている事が明らかとなった。COVID-19 が５類感染症に移行した事で、更なる変化が予想され、引き続きスタッフの混乱や不安・不満を軽減できる体制を検討していく必要がある。