第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演8群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処②~

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 第7会場 (G312+G313)

座長:斉藤 律子

[口演Y-8-3] COVID-19病棟で対応する看護師の感情変化について

梅本 絵美1, 山本 愛実1, 木村 智洋2, 中野 育子1 (1.滋賀医科大学医学部附属病院, 2.あうん訪問看護栗東)

キーワード:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、看護師の感情変化、不安や恐怖

【目的】A病院は、感染指定医療機関ではない特定機能病院である。COVID-19拡大に伴い、2020年4月にB病棟は、COVID-19患者の受け入れ病棟になった。突然の状況に看護師は、恐怖や怒り、不安などの感情を抱いた。また、COVID-19の看護が確立されていない中では、患者との接触機会を最小限にした看護実践を行っていた。このような状況下で、看護師はどういった感情を抱きながら働いているのかを明らかにするため調査を行った。結果、受け入れ当初に看護師が抱いていた不安や恐怖の感情が改善したことが明らかとなった。しかし、感情変化の要因は、何が影響していたのか疑問に感じた。そこで今回、COVID-19病棟における看護師の感情に変化をもたらした要因を明らかにする調査を行った。【方法】対象は、病棟看護師21名。調査方法は、B病棟の看護師に対し、『看護の提供』『社会の中でのあり方』『院内での立場』に分類した前回調査で用いた独自の29項目の内容に対し、自由記載欄を設けたアンケート用紙を用いた。調査期間は、2021年11月とした。アンケート用紙は留め置き法で回収した。また、アンケート用紙は個人が特定されないように無記名とし、協力は自由意志であり、協力しなくても不利益が生じないことを説明し、アンケート用紙への回答をもって同意を得たものとした。なお、この実践報告は、所属長の許可を得て実施した。【結果】アンケートの回収率は、90.5%(19名)であった。アンケートの自由記載欄について、意味のある文節から逐語録を作成し、看護師4名でカテゴリー分けを行った。抽出されたコード141のうち、感情に変化があったコードは、68であった。看護師の感情が変化した因子は、3つの主要カテゴリーに分類された。1つめは、「正しい知識の習得」「周囲の理解が得られてきた」等のコードからなる『COVID-19の理解』とした。2つめは、「カンファレンスの開催」「COVID-19病棟で働く看護師としての使命感」等の『看護師としての役割と責任』とした。3つめは、「意向調査の実施」「業務分担・改善」等の『労働環境の改善』とした。【考察】感染症に対する正しい知識と理解や、看護師としての役割を確認すること、そして適切な環境・体制整備をすることで、看護師が抱いていた不安や恐怖といった、感情の改善につながったと考える。