[口演Y-8-4] 新型コロナウイルス感染症に対応する有熱トリアージ外来における看護師の心理変化
―複線経路・等至性モデル(TEM)を用いて―
Keywords:新型コロナウイルス感染症、有熱トリアージ外来、複線経路・等至性モデル(TEM)、心理変化
【目的】コロナ禍での3年間を有熱トリアージ外来看護師がどの様な思いを抱えながら対応し、現在に至っているか、看護師の心理変化を明らかにし、再度パンデミックが起こった場合の看護師支援や職場環境改善の在り方について示唆を得る。【方法】対象は、202X年4月から202X年4月まで継続して有熱トリアージ外来を対応している看護師4名。半構成化インタビューを実施後、逐語録を抽出した。修正版グランデッドセオリー・アプローチの分析手順に沿って概念を生成し分析ワークシートを作成した。その後、複線径路・等至性モデルを用いて心理変化の実相を示した。A病院臨床研究審査倫理委員会の承認を得た後、対象者へ研究の趣旨、個人が限定されないことや研究参加の自由を口頭と文書で説明し、書面で同意を得て実施した。【結果】新型コロナウイルス感染症に対応する有熱トリアージ外来における看護師の心理変化は、10カテゴリー、15の概念から構成された。複線径路・等至性モデルでは、看護師は<みえないウイルスに対する死への恐怖心と不安:OPP>と<感染症による家族や周囲への感染リスクに対する不安と生活への影響:OPP>や<医療従事者やその家族への風評被害:SD>を受けながら有熱トリアージ外来を担っていた。また<病院組織における反映されない現場の声:SD>や<有熱トリアージ外来スタッフのバランス調整と運用の困難性>と<感染対策のマニュアル運用によるスタッフ教育と監督>にジレンマを感じていた。治療薬とワクチンが開発され、ワクチン3回目接種:BFPや、県からの手当支給:SGもあり<看護師としての意地と使命感:OPP>を再度実感し<ワクチン開発による感染症への恐怖心の緩和>を受けて<みんなで団結:OPP>を知り<感染対策への知識と技術の向上と将来への希望:EFP>に辿り着いた。【考察】今回の新型コロナウイルス感染症の流行により、看護師は感染の恐怖心や死を身近に感じる辛い体験をしていた。感染症に適した環境や運営に対する不満があり、正しい情報提供が必要であったと考えられる。専門職としての自覚や使命感により肯定的な感情をもたらし、困難を乗り越える力になっていた。今回のパンデミックを通じて、感染についての知識や技術に自信を獲得する体験となったと考えられる。今後は看護師の支援や職場環境改善の在り方について検討していく必要がある。