[口演Y-9-1] 新型コロナウイルス感染症の流行により、在学中の学習活動や人的交流に影響を受けた新卒看護師の社会人基礎力
キーワード:社会人基礎力、新型コロナウイルス感染症、新卒看護師
【目的】新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の流行により、在学中の学習活動や人的交流に影響を受けた新卒看護師(以下新卒者)の社会人基礎力の実態を調査し、効果的な新卒者の支援体制を探る。【方法】2021年と2022年の各10月にWEB無記名自記式調査。国立病院機構140施設、国立高度専門医療研究センター8施設、国立ハンセン病療養所13施設に、各4月採用新卒者を対象に、社会人基礎力(「いつもできている」を3点とし3段階で定量化)、在学中に受けた影響と就職前と今の不安の変化を調査し、マンホイットニーU検定で年度比較した。新卒者採用施設の看護管理者に教育の工夫や支援内容を調査した。調査は対象者がWEBでアクセスし、倫理的配慮を記載した説明文の確認と同意チェック後回答する構成とした。【結果】回答数は、新卒者計2340名(平均回答率39%)、看護管理者延べ248名(同85.5%)。社会人基礎力は、『前に踏み出す力』『チームで働く力』ともに2.7点台、『考え抜く力』2.4点台だった。12の能力要素は「規律性」2.94点で最も高く、「創造力」が最も低かった。「主体性」「創造力」は長く影響を受けた2022年度新卒者が有意に低かった。コロナの影響の有無で社会人基礎力に有意差はなかった。就職前の不安が今は更に増したのは「医療事故」「多重課題」で、今は減ったのは「看護技術」「コミュニケーション」だった。新卒者への教育の工夫や支援の内容は、どちらの年も臨地実習の状況確認が最も高く、「新卒者の特性や支援方法を職場や指導者に教育した」「教育目標・内容・方法を見直した」「シャドーイングの時間を増やした」「リアリティショック緩和の研修を行った」などの工夫を行い、職場適応促進のために「教育担当師長の面談」を行っていた。【考察】『考え抜く力』が最も低かったのは、疑問をもち考え抜く余裕がないことがうかがえる。「規律性」が高いのは、社会人ルールを守り、チームの一員として責任ある行動をとろうと強く意識しているといえる。「創造力」が低いのは、臨地実習で患者との直接対話やケアの提供が制限され看護介入の成果を確認できていないため、看護過程の展開の繰り返しで育まれる感性に影響を与えたのではないかと考えた。看護管理者は、この機会をチャンスに変え、看護師の自尊感情を高め、一歩前に踏み出す機会を創る組織作りが必要である。