第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演9群 ポストコロナ社会の看護への示唆~新人教育~

2023年11月8日(水) 10:30 〜 11:30 第8会場 (G314+G315)

座長:篠﨑 まゆみ

[口演Y-9-2] コロナ禍に入職した新人看護職者の患者対応場面における困難程度とコミュニケーションスキルの関連

三浦 美希1, 佐藤 洋子2, 阿部 智美3, 松永 弘子1 (1.九州大学病院, 2.九州大学医学研究院保健学部門, 3.九州大学病院別府病院)

キーワード:新人看護職、患者対応、コミュニケーションスキル、困難

【目的】コロナ禍に入職した新人看護職者を対象に、看護学臨地実習(以下、実習)の経験や入職後の患者対応の困難感とコミュニケーションスキルの関連を明らかにする。【方法】A病院の新人看護職115名に、入職10か月時点で無記名自記式質問紙Web調査を実施した。基本属性、実習経験(患者受持ち状況)、入職後の患者対応16場面の困難感、コミュニケーションスキル尺度(ENDCOREs、6因子24項目、7件法)を調査した。入職後の患者対応16場面の困難程度は1場面毎4件法で確認し、「とても困った」の回答数中央値をもとに困難程度を高低2群に分類した。分析は、各項目の記述統計量を求め、基本属性、患者対応困難程度2群、ENDCOREs6因子各平均点の関連をMann-Whitney U検定、Kruskal Wallis検定を用いて比較した(有意確率5%)。倫理的配慮は、個人が特定されないこと及び非参加時の不利益はないことを説明した。【結果】45名の回答が得られ(有効回答率39.1%)、年齢平均22.9歳(SD0.85)、女性100%、4年生大学卒業者93.3%であった。実習状況は、全領域受持ちあり22名(48.9%)、3領域以上受持ちなし15名(33.3%)であった。ENDCOREs6因子各平均点は、「他者受容」が4.96(SD0.13)と高く、「表現力」が3.28(SD0.11)と低かった。入職後の患者対応困難度が高い群20名(44.4%)と低い群25名(55.6%)を比較した結果、実習時の患者受持ち状況に有意差は認めなかったが、高い群の方がENDCOREs6因子の「自己統制」「解読力」(p<0.05)、「他者受容」(p<0.01)の得点が有意に高かった。【考察】実習時の患者受持ち状況と入職後の患者対応困難程度に有意差を認めなかったことから、コロナ禍の実習で患者受持ちが十分にできない場合でも、実習内容の工夫や学内実習の補完により、入職後の患者対応困難感が現れなかった可能性がある。また、「解読力」「他者受容」の得点が高い者は、相手の考えや気持ちを読み取り、共感しようとする意識が高い一方、上手く対応できなかった場合に困難感が積み重なっている可能性がある。そこで、新人看護職者のコミュニケーションスキルの特徴を本人と共に理解し、実際の患者対応場面を見せるなど、共に実践することが重要であると考える。